南部バプテスト連盟(SBC)と自由主義的な流れを汲むテキサス・バプテスト総連盟(BGCT)は、SBCの保守派色が強まった1970年以降の約30年間にわたって競合していた。神学・聖書的見解の違いやBGCT側の主体性維持といった点が交流の妨げとなっていたが、今年6月に新議長となったボビー・ウェルチ牧師は10日、BGCTに加盟する教会で行われた講演で、すべてのバプテスト教会は「福音伝道」の旗の下にひとつとなるよう呼び掛けた。
ウェルチ氏は「南部バプテスト連盟は、有識者が議論や反対意見の主張を自由に行える場所であり続けるし、これを認めることにしよう。しかし、南部バプテストが必ず賛成し一致しなければならないことがひとつだけある。それは、主イエスを知らない人々に主イエスを宣べ伝えることだ」と述べた。
ウェルチ氏による今回の訪問は、同氏が実施している「Everyone Can(あなたにも出来る)」と銘打たれた伝道促進バスツアーの一部。同氏は発起趣意の中で、キリストの名による福音伝道の働きのほうがSBC共同体内部の”平和”造りよりも重要かつ優先されるべき課題と語った。「伝道に集中することが、砕かれたキリストの体をひとつにする究極の手段」と付け加えた。
BGCTは、SBC傘下にあるテキサス州の諸教会の集合体(群)で、BGCTの主体性やSBC共同体内における合同のあり方などを争点として、SBCとは「不仲」であることが知られている。BGCTは、保守派傾向を強めるSBCに反発するかたちで自由主義的色彩を強め、両者の溝は深まるばかりとなっていた。
ウェルチ氏は、25年間という歳月を経て今なお存在する課題ではあるが、教会はより重大な使命感をもって、分裂よりも一致へと足を踏み出していかなければならないと語った。