世界教会協議会(WCC)のサムエル・コビア総幹事が五月十七日、米国ニューヨークの国連本部でアナン国連事務総長を訪問した。
この訪問は世界各国の教会に平和への取り組みを呼び掛けようというWCC側の要望を、アナン総長が快諾したことで実現した。教会と国家の世界的な代表である両氏の会談で、両氏は「国際平和デー(International Day of Peace)」を制定することと、当日に祈祷礼拝をささげることで合意した。
「平和のために祈る日には、祈りへの招きが異なる信仰を持つ人々とも分かち合われることになる」とコビア総幹事は語った。国際平和デーは九月二十一日に設定された。
コビア総幹事とアナン事務総長は、この制定された日を祈りながら過ごし、多様な人種や民族が平和への働きかけにおいて一つとなれることに対する希望に同調を示した。
コビア総幹事は宗教が政治と紛争において果たすべき責任について言及した。
政治権力を獲得して自団体に独占と優位を得させようとする反平和勢力を見るとき、宗教は根本的な倫理と人間愛を強調することで建設的な貢献が可能となるのではないか、とコビア総幹事は語った。また、「善意と慈愛を育みながら共同体間の相互理解がなされるために、草の根レベルで宗教間の対話の機会を持ち、抑圧と不義への抵抗として共通の課題について話し合っていくべきだ」と提案した。
共通課題の例として、コビア総幹事はイラク国内やイスラエルとパレスチナの状況を提示した。
同総幹事はイラク国内の現状について「占領地帯で実権を握る勢力の誤った方策が原因で、暴力が蔓延しており、危機的だ」と発言した。解決策の第一としては米軍がイラクの経済や財政問題、石油問題といった文民活動から完全に手を引くことと、支配勢力からの歩み寄りを含めた誠意と和解への取り組みを体系化させたものを必要とすることが求められているという。
コビア総幹事は、ジュネーブ条約を基盤として、人々が偏見の壁を乗り越えて双方の意見に耳を傾ける機会を育み、他者に敬意を払うことに対して理解を示す助けとなるはずだ、と語った。
一方、アナン総長は、WCCが実施するパレスチナとイスラエルにおけるエキュメニカル同伴プログラム(EAPPI)に言及し、このプログラムと国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を連合させて更に大きな働きを展開したいと述べた。
また、両代表はエイズ・ウィルス(HIV)の世界的流行とアフリカ各地における紛争について意見を交換した。