「多様化した世界に、様々な賜物と伝統をもつ教派・教団が一致していく伝道と証しのわざこそが求められています。日本キリスト教連合会がそうしたニードに応え、祈りと力を合わせるべく形成されていくことを心強く思います」日本キリスト教連合会(松岡俊一郎理事長、以下日キ連)顧問、山北宣久牧師(日本基督教団総会議長)は同連合会についてこう語る。(同連合会会報2005年7月)
日本キリスト教連合会は、プロテスタント、聖公会、カトリック、合わせて59の団体が加盟する、日本キリスト教界で最大規模を誇る連合体である。 創設から現在に至るまで、主に宗教行政における宗教界の窓口とされる財団法人「日本宗教連盟」の構成団体として、教団、教会における法人事務円滑化を主目的に活動してきた。
松岡俊一郎理事長はクリスチャントゥデイのインタビューに応じ、 同連合会内での教会の一致に向けた活動について、「日キ連としては(教会の一致を)意図していない」と話した。日キ連が教会一致に消極的になる背景に、戦中厳重な宗教統制が行われた際自発的な一致ではなく政府の要請により創立されたことが挙げられる。
戦後は、「宗教法人法に基づいて共通する法人事務の向上をはかるため、加盟団体関係者が相互に研修し親交を深める」ことを主な目的として活動を再開。目的を事務に特化することで、超教派の連合体が今日までに形成されていった。なるべく簡単な必要最小限度の簡素なものでありたいというのが連合内の大方の意向だ。
年2,3回行われる勉強会では、キリスト教界が関わる問題(生命倫理や公益法人改革など)をトピックに希望者が学ぶ。ここでも、キリスト教界としての意見が大きく問われる靖国神社参拝問題などについては触れないようにし、加盟団体間で大きな意見の対立がないよう努めてきた。宣教協力においても、大きな動きはまだなされていない。
「日本キリスト教連合会の機構は、その時代時代に適合するようにと、整えられてきた」(同連合会50年史)いま時代は福音を必要としており、日本を救う規模の宣教を成すには日本全体での協力が不可欠となる。教団指導者層が最も多く集まることができる集団であるにもかかわらず、最優先事項である福音宣教を議題に挙げぬ日キ連の姿が神の目に喜ばしく映るかが問われる。