インパクトは、米国長老教会(PCA)の海外宣教部門「MTW(Mission to the World)」が日本長老教会(中台孝雄大会議長)の協力者として設立した「日本長老伝道会(JPM)」の学生伝道部門。
日本の教会の「高齢化」という現実を受け止め、インパクトは「世界にインパクトを与えるために、福音の力によって学生たちをキリストとその教会へと導く」ことをモットーに、学生伝道の働きを日本の教会に起こそうと活動している。
PCAは、米国内でも成長を続けている教団の一つ。一九七〇年代に国内の宣教部門に学生宣教部門を設立した結果、教団は目覚しい成長を遂げた。牧師がキャンパスに直接入って伝道し、伝道された人からは牧師になる人も多く、現在は全米七十八の大学で活動している。
この働きを経験していたPCAの宣教師たちは、教会が直接キャンパス伝道をすることが活発でない日本でも、日本長老教会を支援する有効策の一つと考えインパクトの働きを開始した。
今年の三月までインパクトの代表を務め、同九月からPCAの神学大学に留学する青柳聖真さんは、「大学内での交わりが宣教会の働き。これを教会内での交わりにもしていきたい」と話す。
青柳さんは、高校時代にhi-b.a.を通じてクリスチャンとなり、大学時代にはKGKの一員として活動した。キャンパスでは同世代のクリスチャンとの交わりに恵まれたが、教会の中では、寂しさや壁のようなものを感じる現実があったという。
教会に大学生伝道や青年伝道の動きが無く、青年の受け入れ態勢が不十分なため、高校や大学の卒業後に教会との繋がりを失う人も多い。青柳さんは大学卒業後、企業に就職したが、青年伝道の必要性を覚えながら、機会さえあれば、とも考えていたという。青柳さんがインパクトの活動を始めたのは、それから間もなくJPMの宣教師と出会ってのことだった。
インパクトの活動は九十三年から始まり、本格化したのは九十六年から。現在は千葉大を中心に、神奈川と名古屋の全国三カ所で活動をしている。
各地では地元教会を活動の拠点とし、週に一度の交わりや夏のキャンプ、ゴスペル音楽など様々な機会を通して、普段はクリスチャンに触れる機会の少ない未信者の学生たちに、クリスチャンと交流する場を提供している。
青柳さんによると、インパクトが伝道した学生たちは、ほぼ全員が教会に残っており、これによって教会は着実に活性化の道を歩んでいるという。青柳さんが所属するみどり野台教会(千葉県千葉市)では、インパクトの活動を始めてから青年の数がおよそ五倍になったという。
JPMは活動の一環として、神学校を卒業して間もない人や青年を対象に、二年間学生伝道で経験を積むインターン制度を実施している。学生伝道に働き人が与えられることで多くの青年を教会に導けるだけでなく、インターン生は、牧会に出る前に学生宣教の場に携わりながら伝道者として訓練され、将来の選択肢が広がることになる。
活動開始当初、インパクトはPCAからの援助で運営されていたが、徐々に日本側からの援助を土台とする体制に移行した。インパクトは、教会に対して大学生を受け入れる体制を整えるための援助もしている。
青柳さんは今後、現在はJPMが行っているインパクトの最終決定権も日本長老教会へと移行し、活動も完全に日本の教会のサポートにより行っていきたいと話した。そして、個々教会の特質に合わせて多様なリソースを用意し、教会員や学生主体の青年伝道を全国規模で展開し、将来は日本長老教会全体、そして全国の教会へと拡大していくことが今後の目標とのこと。