ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチの初期の傑作「受胎告知」が、東京国立博物館(東京・上野)で開催中の特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ−天才の実像」で日本で初めて公開されている。
ダビンチの絵画作品は世界に10数点しか実存しなく、「受胎告知」は20代初めのダビンチがほぼ単独で手がけた実質的なデビュー作として知られ、ルネサンス美術の宝庫であるフィレンツェ美術館でも最も重要な作品の一つとなっている。完成作では「最後の晩餐」に次ぐ大作であるが保存状態は比較的よく、500年以上前に製作された当時の作品を見ることができる。
「受胎告知」は、大天使ガブリエルが聖母マリアにキリスト懐妊を告げる場面を描いた作品で、ルネサンス時代の特徴である線遠近法やシンメトリー(左右均衡)などの手法が見られる。また、名画「モナ・リザ」でも用いられている、遠景を青白くぼかして表現する「空気遠近法」も見られ、その後のダビンチの作品に見られる様々な要素を垣間見ることができる。
特別展では「受胎告知」の他にもダビンチの真作の可能性が極めて高いとされている彫刻「少年キリスト像」も出品され、また絵画の他に天文学、物理学、解剖学、建築学など、「万能の天才」と呼ばれるほど多様な分野を探求したダビンチに関する様々な研究成果を見ることができる。
開催期間は3月20日から6月17日までで、会場は本館特別5室と平成館特別展示室の2つに分かれている。観覧料は一般1500円、大学生1200円、高校生900円、中学生以下無料。詳細は特別展の公式サイト(http://www.leonardo2007.jp)、または東京国立博物館(http://www.tnm.jp)まで。