開発教育協会の代表理事として国内の開発教育界をリードする田中治彦氏(立教大教授)が11月28日、東京YMCA山手センター(新宿区西早稲田2-18-12)の午餐会で講演した。「子ども・若者の『居場所』の構想というテーマで、現代の若者に関する研究内容を発表した。YMCA職員数人を含む25人が参加した。財団法人東京YMCA賛助会事務局主催。
同氏は学生時代には東京山手YMCA青少年活動のリーダーを務め、岡山大学赴任時には教職につく傍ら岡山YMCA理事として活動するなど、長年YMCAに携わってきた。
講演の中で田中氏は、社会現象の観点から過去20年間に若者がどのように変化したかを分析しながら、現代の若者との関わりのあり方について考察した。
田中氏によれば、任天堂のゲーム機「ファミコン」が発売された1983年ごろから若者の変化が現れだした。この年を境に集団活動に参加する青少年が減少、80年代後半以降は学校でのいじめ、不登校、学究崩壊が大きな社会問題となった。
2001年に刊行された著書「子ども・若者の居場所の構想」では、成人社会が若者に「関わりの場としての居場所」を豊富に用意し、積極的に若者を参画させることを提案している。「自分のテーマが明らかになり、自分が主人公として活躍できる場、自分の居場所と参画が保障されれば、若者はその力をいかんなく発揮する」と話した。
主催側スタッフは「今の社会状況の中で私たちがどのようなアクションを起こせばいいのかを講演から学べた」などと話していた。