貴重な歴史的資料を紹介しつつ急速に近代化する明治日本とロシア人としての魂との相克を鮮明に描いた『宣教師二コライの全日記』が07年1月に教文館から出版される。
ロシア正教会の大主教二コライ(1836−1912)の日記は、日本近代史・キリスト教史の第1級資料と称される。
1861年(文久元年)、25歳で函館のロシア領事館付き司祭として来日した二コライは、約半世紀の間、日本各地を訪れながら日本正教会の礎を作ってきた。わずか25歳で修道司祭として一人で異国の地に赴き、福音を全く知らない人々の間で、打算なく福音伝播の情熱をもって日本に福音を根付かせた。
生前に書き残した日記帳は全30冊だが、関東大震災以降、長らくその存在が確認されていなかった。しかし、1979年にレニングラードの国立文書館で発見された。
同日記には明治の文化人や政府高官たちとの交流から各地の庶民の生活、伝道の記録、日露戦争時の苦悩などがつぶさに記されている。
ロシア語版は04年に全5巻で刊行されている。日本語版『宣教師二コライの全日記』は全9巻(各約380頁)。販売はセットのみで99750円。