元・NHK「歌のお姉さん」で現在ゴスペル歌手として活躍する森祐理さんの「いのちのメッセージコンサート」(主催・実行委)が15日、高知県立美術館ホールで開催された。同コンサートの開催には、ハワイで日系移民らのために尽力した故・奥村多喜衛牧師が大きく関わっている。
日系教会では全米最大規模とされる「マキキ聖城キリスト教会」の設立者、奥村多喜衛牧師(1865〜1951)は、ハワイで日系人移民のために日本人大学や病院の設立、新聞の発行など数々の功績を残した。
本コンサートの開催は、昨年4月に同教会の創立100周年祝賀会がハワイで行われた際、同会に参加していた「奥村多喜衛協会」の会員らの提案がきっかけ。同協会の中川芙佐さん(高知大学非常勤講師)らが祝賀会にゲスト参加していた森さんの歌を聞いて感動し、森さんに高知でのコンサート開催を打診し、開催が決定した。
奥村多喜衛協会は、有志らが奥村牧師の故郷、高知で結成した団体で、主に国際交流活動を支援している。
コンサートには約400人の来場者があり会場を埋め尽くした。森さんは「アメージンググレース」「君は愛されるため生まれてきた」など10曲を歌った。
コンサートには手話通訳を取り入れた。音楽コンサートに手話通訳を行うのは同県内で初。(関係者) 聴覚に障害がある子の母親は「これまで息子が障害をもって生まれてきたことに『なぜ』とばかり思い続けていたが、きょう初めて息子の障害を受け入れることができた」と涙を流して語った。
コンサートをきっかけに、キリスト教系学校、清和学園(同県南国市)が今年11月11日に森さんを招待し、学校内で伝道コンサートを開催するという。
実行委代表の中川さんは「宗教色の薄い高知でこれからもこのようなコンサートを行っていきたい」と話している。