25日午前9時42分に能登半島全域を襲った震度6強の地震で大きな被害を受けた石川県輪島市の中心部にある日本基督教団輪島教会(勇文人牧師)からの報告によると、教会から30メートル先の民家が全壊するなど、教会周辺には倒壊した家屋が幾つか点在している。また、建物の外壁や内部に亀裂が生じた家屋も多く、いつ倒壊してもおかしくない状況だという。
そのような被害を出した強い地震にも関わらず、輪島教会は持ちこたえた。書棚や家具の多くが倒れたほか、台所では食器棚が倒れてガラスと食器類がひどく散乱したが、教会の礼拝堂も牧師館も無事だった。
とはいうものの、地震によって教会内部に生じた多数の亀裂が、度重なる余震の影響を受けてその傷を悪化させている。「本震の時には気がつかなかった亀裂が度重なる余震で出来たのか、会堂の内壁や外壁に見られるようになりました。余震が落ちついた段階で調査診断が必要になってくると思います」と、勇師は26日午後13時35分に報告している。
そのほかにも、25日の地震発生直後にははっきりと確認されなかった教会内部の被害が、26日に次々に明らかにされた。牧師館の風呂場や2階部分にまで亀裂が生じてきたことや、教会の2階を支える梁や壁にも亀裂が走っていることが新たに判明した。
加えて、教会隣の洋服店の入り口付近にある左右の柱に大きな亀裂が生じ、曲がり始めたことが確認された。このまま余震が続けば道路側に倒れる恐れもある状態だ。勇師は、「教会の玄関側に倒れる可能性もあり、心配になってきました」と26日深夜の報告で書き綴っている。案の定、28日にその洋服店の建物に赤紙が貼られ、住むことができなくなった。周辺の住宅にも調査が入り、赤紙を貼られた家が多数出てきている。輪島教会の礼拝堂と牧師館にはまだ赤紙は貼られていないが、予断を許さない状況だという。
輪島市では現在も余震が続いている。余震のたびに亀裂は増加し、状況はさらに悪化するばかりだ。勇師は「皆さんの祈りが必要です」と切実に呼びかけた。