今月25日全米公開予定のメル・ギブソン映画“キリストの受難 (The Passion of Christ)”が、反ユダヤ主義論難にも関わらず多くの関心を得ている。ギブソンがポケットマネーから出した2千5百万ドルを制作費用に充てたが、多くの映画評論家は公開1週間で1千5百万ドルから2千5百万ドルの収益が見込めるとしている。
この映画は、多くの教会からも支援を受けている。映画公開まであと10日となり、ここ数日は教会団体から前売り券の注文が後を絶たないという。専門家の話では、大衆マーケティング・キャンペーンによる広報戦略が効果を発揮した。娯楽遊興チェーン「リーガル」に所属するAMC映画劇場は、14日までに30万枚以上の前売り券が売れたと発表した。
テキサス・プレストンウッド・バプテスト教会経理担当のアーク・ボニマーさん(50)は自費で6000枚のチケットを購入し、「全てのアメリカ国民がこの映画を見て、キリストについての理解を深めなければならない」と語った。ボニマーさんは初上映日に同州内の劇場を一つ借り切り、この映画が問題なく上映されるように公開日まで準備に取り掛かるつもりだと張り切っている。
アメリカの多くの教会では、この映画の広報活動が盛んに行われている。昨年末の映画試写会に参加した牧師たちは、教会の信徒たちに映画観覧を勧めたり、教会のインターネットサイトで映画を紹介したりしている。
アメリカレーシングカー協会NASCARも映画宣伝に協調している。15日のNASCARデイトナ500では、ボビー・ラボンテ選手の愛車18番シボレー(Chevrolet)がボンネットを映画ポスターで飾った。彼は「レースを観覧した数千人の観衆がこの映画ポスターを見たと思う」と話し、宣伝効果は大きかったはずと満足そうだ。11位というレース結果については「次はキリストの勝利を見せるよ」と意気込みを語った。