ナイジェリア北部カドゥナ州の地元市民団体の調査によると暴動による死者は少なくとも516人以上であるという。大統領選で対抗馬であったイスラム教徒のムハンマド・ブバリ元最高軍事評議会議長(北部出身)の支持者らは16日のグッドラック大統領再選後、北部カドゥナ州で暴動を起こし、18日までに14州に暴動が拡大した。暴動によってキリスト教徒の教会、家屋、警察署が襲撃を受け、キリスト教徒が報復するなどしてさらに拡大し死者数が増加するに至った。
ブハリ氏や同氏の支持者らは選挙に不正があったと主張しているが、選挙を監視している独立監視団体は、今回の選挙はここ数十年で最も公正に行われたとしている。報告書では「国民議会選と大統領選は共にナイジェリア国民の意思を反映したもので、信用に値するものだ」としている。
治安当局によると、暴動による避難民は少なくとも6万5千人に達していると推計されている。ジョナサン大統領は暴動が激化したことを受け、北部各州の治安部隊強化を行っている。同大統領は先週「私たちの民主主義政治の精神を共有できない動きが存在していることは悲しむべきことです。一部地域で悪しき群れを形成し、武力をもって攻撃し、その結果死者が生じています。彼らは罪なき市民を殺害し、負傷させています。職場・家屋さらには礼拝する聖なる場所さえも放火しています」と遺憾の意を述べていた。
イースターの24日には、ナイジェリア北東部のボルノ州まで暴動が広がり、同州で3人が殺害され、14人が負傷した。治安当局によると、イスラム教の分派である「ボコ・ハラム(西洋の教育は罪)」を名乗る武装勢力がナイジェリア政府に反発しており、大統領選挙前から投票者らを威圧しようとしていたという。
ナイジェリアは北部に主にイスラム教徒、南部に主にキリスト教徒が存在しており、米国務省の2010年度「宗教の自由」報告書では「キリスト教徒とイスラム教徒の敵対心が高まっており、暴力・緊張関係が懸念される。就業差別・資源の分配などの問題において地域の間で関係性が悪化している」と報告されていた。
キリスト教の迫害監視団体「オープンドアーズ」では、ナイジェリアが世界で23番目にキリスト教への迫害が激しい国としてランクインされている。さらにオープンドアーズでは、ナイジェリアではイスラム教過激派が武力をもってイスラム教の支配力を高めるために活動を激化させていると報告されている。