【CJC=東京】日本の大地震・津波被災、さらには原子力発電所の破壊が世界の混乱をさらに深刻にする中、4月24日、各地でイエス・キリストの復活を祝う「イースター」(復活祭)が祝われた。
イースター(パスハ)は、キリスト教会ではクリスマスより重視され、早くから祝われてきた。太陰暦で「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝うように定められたが、それを太陽暦によって算出する際、ユリウス暦による東方教会とグレゴリオ暦による西方教会では異なる日に祝うことにもなった。今年は昨年の4月4日に続き24日で同日。
教皇ベネディクト16世は、24日朝、「復活の大祝日のミサ」をバチカンのサンピエトロ広場で捧げた。正午には、教皇は大聖堂の中央バルコニーから、復活祭のメッセージを述べた。
「キリストは復活された!」という知らせは20世紀の時間を隔て、今日も教会に響き続けると述べた教皇は、先進的コミュニケーション技術の現代にあってもなお、キリスト教信仰は、キリストの復活を体験した聖母マリアやマグダレナら女性たち、そしてペトロをはじめとする使徒たちの証しに基づいていると指摘した。
教皇の復活祭メッセージは通常、世界各地の問題に触れる。今年は特に中東とアフリカ諸国の緊張を憂慮、リビアに非暴力と対話、コートジボアールに和解を訴えた。被災した日本に対する教皇の思いは「最近の地震で深刻な被害を受け、悲しみと苦しみの中にある日本の地に、慰めと希望がもたらされますように」との祈りに示された。
バチカン放送(日本語電子版)によると、「兄弟姉妹の皆さん、復活されたキリストは、私たちの前を、新しい天と地に向かって歩いておられます。この傷ついた世界を、キリストの後ろに従って、ハレルヤを歌いながら歩いていきましょう。私たちの心には喜びと苦しみ、私たちの顔には微笑みと涙があります。これが私たちの地上の現実です。しかし、キリストは復活され、私たちと共に歩いておられます。ですから、この世の自分の仕事に忠実に、眼差しを天に向けながら、歌い、歩いていきましょう」と教皇は語った。
教皇は、続いて、世界の65言語で復活祭の祝いを述べた。日本語でも「ご復活祭おめでとうございます」と挨拶、そしてローマと世界に向けた教皇祝福「ウルビ・エト・オルビ」を発表した。
正教会の霊的指導者、コンスタンチノープルのデメトリオス・エキュメニカル総主教は、パスハに際してのメッセージを発表、今、起きていること、出来事は、復活の喜びにそぐわないように見える。核爆発による荒廃の可能性もある地震や津波による災害は、武力抗争やテロ行為による犠牲と共に、この世界が悪魔の力による恐るべき苦難にさらされていることを示した。それでもキリストの復活は、大災害や精神的な異常の不幸な結果を超越する、誠実なキリスト者には確かさであり、全ての人類には可能性なのだ、と語った。
エルサレムでは、聖墳墓教会の礼拝に、世界各地からの巡礼が参加、巡礼が灯す蝋燭の煙が立ち込める中、イエスが埋葬されたと信じられている墓の石にひたいを付けたり、キスする姿も見られた。
聖墳墓教会は、ギリシャ正教会、ローマ・カトリック教会、アルメニア正教会、コプト教会、シリア正教会、エチオピア正教会が管理をめぐって抗争が絶えない。
米国のバラク・オバマ大統領は、イースター礼拝に、ホワイトハウスからほど遠くない黒人系のシャイロー・バプテスト教会で守った。盛装した会員たちの歓迎を受けた。牧師は、祈祷でオバマ一家に触れ、神の執り成しを願ったという。