今日開いた聖書は、有名なナアマン将軍の物語です。らい病に侵されていたアラムの将軍ナアマンが、預言者エリシャに促されヨルダン川で七度体を洗うと、神の力を受けて、長い間苦しめられていた病から癒されたのです。彼の癒しは、イスラエル人の奴隷の娘から「イスラエルにいる預言者エリシャのところに行かれたら、きっと癒されるでしょうに」と聞いたところから始まりました。ナアマンは、筋金入りの信仰者でもなく、神の選びの民イスラエル人でもありませんでしたが、癒しの恵みを受けたのです。
私たちは、イエスから癒しの力をいただくために、特別な人間にならなければいけないという錯覚をしているかもしれません。しかし、そうではありません。選ばれた立派な信仰者だけが癒しの恵みをいただけるのではないのです。欠点の多い生身の私たちのままでも、たとえ特別な人間にはなれなくても、信仰の秘訣を掴んで働かせるなら、癒されるのです。三つの秘訣を押さえておきましょう。
1.柔軟な心の態度を持つ
最近、自分の考えどおりに事が運ばないと、イライラしたり、怒ったりする人が増えています。ナアマンがそうでした。アラムの王様に紹介状を書いてもらい、贈り物を用意し、馬や戦車も引き連れ、威風堂々とイスラエルの王様のところまで行きますが、王様は、アラムが言いがかりをつけようとしていると誤解します。それを知ったエリシャが使いをやり、「ヨルダン川に行って、七回体を洗いなさい」とナアマンに伝えます。そうすると、ナアマンは、「エリシャが来て、イスラエルの神の名を呼び、患部に手を置いて治してくれると思っていたのに」と怒るのです。高価な贈り物と軍備を見て自分を敬い、丁重に治療をしてもらえるはずだと決め付けていた一つ一つのことが、予想とは違う方向にいきます。でも、決め付けとは違うことを柔軟な心で受けとめた先に、癒しがあったことを知らなくてはなりません。
あまりにも我の強い人は、神の祝福をいただくことはできません。神の方が私たちよりも発想が豊かですから、勝手に神の御業を決め込んでいては、祝福を失います。癒しの御業の主役である神からの導きを、柔軟な態度でいただく者となりましょう。「神様の方法で構いません」という柔らかな心を今、用意しましょう。
2.素直に従う姿勢を持つ
エリシャは姿を現わすわけでもなく、ただれ切った皮膚の上に手を置いて祈ってくれるわけでもありません。その時、ナアマンは、怒って去ったのでした。期待どおりにならなかったからです。でも感謝なことに、賢い部下たちがいて、「預言者が難しいことを言ったら、あなたは一生懸命やったでしょうに。簡単なことを言われただけですから、やってみましょう」となだめられ、ナアマンは預言者の命令に従って、ヨルダン川で自分の体を七回洗ったのです。
神の恵みをいただくコツは、「私の気持ちをわかってほしい」という心ではなく、「神様、従います」という姿勢です。素直に従うへりくだりが、恵みを引き寄せます。
3.求めるのは、病気の治療法か、神の癒しか
ナアマンは言います。「ヨルダン川は、きれいな川ではない。傷口を洗うなら、もっときれいなアラムの国のアマナ川やパルパル川の方がよっぽどいい」
もし、病気の治療法を求めるならば、最先端の医療がある国へ行った方がいいかもしれません。でも、神の癒しは違います。私が出かけたインドやカンボジアでも、病気に対する知識も薬もない場所でも、むしろ、そういう場所でこそ鮮やかに奇跡的な癒しの御業が起こることを体験しました。そして、神からの癒しは、単に病気の症状が消えることではなく、心までも元気になり、その人の人生が神の祝福によって輝くのです。
病気が治っても、不幸な人はいっぱいいます。それは、医学上の治療だからです。でも、神の癒しは違います。症状が消えるだけではなく、その人の魂まで癒され、命の質が変えられます。
水の良し悪しの問題ではありません。エリシャは、ナアマンが癒されるために「このことをやってみなさい」と神のご命令を伝えたのでした。治療法ではなく、神からの癒しに焦点を当てて求めましょう。そうすると、症状が消えるだけではなく、あなたのクリスチャンとしての信仰も輝き、人生が祝福されていきます。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。