1922年、米国のネブラスカで、一本の歯が発見されました。この「一本の歯」から、「空想によって」、原始人の姿とその原始人の妻子の姿までが描かれ、進化論者はそれを「ネブラスカ人」と呼びました。
「ネブラスカ人」は、博物館に飾られ、教科書に載せられ、米国中に、そして世界中に、知られました。1912年に英国で発見されて有名になった、ねつ造原人「ピルトダウン人」に次いで、「ネブラスカ人」は特に米国では熱狂的に騒がれたのではないでしょうか。
その後、ネブラスカの同じ地区から新たな頭蓋骨が発見されました。「この頭蓋骨と先に発見された一本の歯を検証すれば、もっと正確な『ネブラスカ人』像が描けるのではないか」と期待されたことでしょう。
ところがです。「ネブラスカ人」の一本の歯は、人間の歯でもなく、猿の歯でもなく、まして、そもそも進化論者の頭の中にしか存在しない「原人」の歯でもありませんでした。なんとそれは、「豚の歯」であることが、判明したのです!
これは本当に驚くべきことです。「豚の歯と、人間の歯や猿の歯を間違えるなんて、あり得ない!」。一般市民は直感的に、そう考えるに違いありません。しかし、「科学」の世界では、あり得ることなのでしょうか。
でも、もっと大きな問題は、一体どうして、たった一本の豚の歯から、原始人の頭と身体の全体像が描けるのでしょうか?一体だれが、それを描いたのでしょうか?一体そこには、何らかの根拠や、何らかの合理性が、あったのでしょうか?
何の根拠も合理性もないとすれば、そこには進化論者が勝手に空想した「原人像」が、先にあっただけなのではないのでしょうか?このような「手法」が公然と認められている、「進化論」そのものに疑問を持たざるを得なくなるのではないでしょうか?
しかし、子どもたちを含めて一般市民は、「一本の豚の歯」よりも、なんの根拠もない虚構の空想原人「ネブラスカ人」の方を、本物に近いものと信じ込んでしまうのではないでしょうか?
「そこにはなんらかの骨相学的な根拠があるのだろう」。「頭蓋骨と身体全体の骨が見つかったのだろう」。私たち一般市民は、当然のこととして、こう想定してしまいます。
もし、「一本の歯」から、「頭と身体の全体像」が描ける根拠や合理性があるとするならば、「一本の豚の歯」からは、「豚の頭と身体の全体像」を、描かなくてはいけないのではないでしょうか?
ですから、このような「進化論の手法」そのものに、元々虚構でしかない進化論を、私たち一般市民になんとしてでも信じ込ませようとする、「科学」の領域を逸脱した「意図的な欺瞞」があるのではないでしょうか?
「進化論」によって、私たち一般市民が「嘘」を信じ込まされ続けているとすれば、それは重大な社会問題ではないでしょうか?
◇
佐々木満男(ささき・みつお):弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。
■外部リンク:佐々木満男先生のブログ「ドントウォリー!」