受難節3日目にあたる11日午後2時46分に発生した東日本巨大地震は、図らずもキリスト者に、聖書に書かれてある終末の出来事を思い起こさせた。
ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会主管牧師の峯野龍弘氏は13日午前、「東日本大地震緊急特別礼拝」とした主日礼拝で、「キリストの再臨と心の危機管理」と題し、マタイ24章などを強調して説教を行った。マタイ24章には、終末に関する記述がある。イエスは7節で「地震が起こる」こと、15節から21節で「大艱難が襲う」こと、さらに29節から31節で「天地宇宙の大変動が起こる」ことを語っている。
日頃から、防災袋などの物質的な危機管理をしておくことが大切だとは良く言われる。キリストが来られる時も同様に、「思いがけない時に来られる」(マタイ24・44)とある。峯野氏は、キリスト者であるお互いが、キリストの再臨に備えた霊性の危機管理を怠ってはならないと強調した。
霊性の準備を整えるポイントとして、第1に、「聖なる生活」(ペテロ二3・10~11、ユダ20)、第2に、「目覚め、慎み、祈る生活」(テサロニケ一5章)、第3に、「愛(アガペー)の生活に励むこと」(ペテロ一4・8、テサロニケ一3・12~13)」を挙げた。キリスト者が神の御言葉を良く読み、それに従って生活し、礼拝を守り、常に主を第一優先として考えること、また、日々良く祈り、他者のため、社会や国家、世界のために祈り、公同の祈祷会に励んで出席すること、そして、他者を思って生活し、他者のために自己犠牲することを甘受して奉仕すること、他者を裁くより赦し、拒絶より受容していくことを勧めた。
気象庁は13日、同地震の規模をマグニチュード(M)8・8から9・0に再修正し、今後の余震について、13日以降の3日間にM7以上の余震が起きる確率を70パーセントと発表した。警視庁は同日、同地震による死者と行方不明者は合計で2000人を超える見通しだと発表している。
自衛隊による救出活動が行われているほか、外務省は、世界69の国と地域、さらにASEAN、国連人道問題調整部(OCHA)、国際移住機関(IOM)、国連世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(UNISEF)、赤十字国際委員会(ICRC)の5つの国際機関から支援活動の申し出を受けていることを発表した。
キリスト教機関による支援も行われている。救世軍は被災地に緊急救援隊を派遣している。救援隊は、「自然災害に神の行いによって戦っていく。私たちは日本の社会の一部として存在しており、被災地の復興のために全力を尽くしていく」という。南部バプテストの救援復興組織であるバプテスト・グローバル・レスポンス(BGR)も被災地での現地調査を行うと発表している。日本政府は海外民間組織からの支援は要求していないが、BGRエグゼクティブ・ディレクターのジェフ・パーマー氏は、現地のキリスト者と活動を行うとし、「効果的な対応を行い、看過されている地域での必要に応え、キリストを信じる人たちを通してキリストの中に希望を抱けるよう、被災者を支援していきたい。どのように支援活動を展開するのが最善な方法か、最良の知恵が与えられるよう祈ってほしい。何よりも日本の方々の霊的、肉的両面において祈ってほしい」と述べている。
約1億2750万人いる日本人口の中で、キリスト者は200万人程度しかいない。峯野氏は礼拝で、被災者のため、また被災地で救援を待ち望んでいる人々、救援活動を行う人々への深い祈りを捧げるとともに、信徒らに対し「今こそ奮い立って宣教していかなければならない」と述べ、「真のキリスト者であることを目指していかなければならない」と強調した。