エジプト首都カイロ南部の村で生じたコプト教徒の男性とイスラム教徒の女性の恋愛が原因で発展したイスラム教とキリスト教の衝突事件で少なくとも13人の死者が出ていることが9日、明らかになった。
他にも衝突事件で90人もの負傷者が生じているという。8日、エジプトテレビ局の入っている建物の近くで数百人ものコプト教徒が今回の衝突事件に対する抗議運動を行い、イスラム教の暴徒がコプト教会2件を焼き払ったことに対して非難した。
イスラム教の暴徒は地元のクリスチャン男性とムスリムの女性が恋愛関係に陥っているところが発見されたことを受け、教会を焼き払うという行動に出たと言われている。
8日には500人ほどのコプト教徒がエジプトテレビ局の入っている建物の近くで教会の焼き払い事件を非難する抗議運動を行った。
一方数千人のイスラム教徒も現場に集まりコプト教徒の抗議運動に対抗、アッシリア国際通信(AINA)によると、一部のイスラム教徒は武装していたという。500人のコプト教徒の抗議デモ参加者らに対し、初めはイスラム教徒らが石を投げつけたが、最後には火炎瓶も投げつけるようになったという。
最終的にエジプト軍部が現場に到着し、衝突の様子を静観していたが、その後エジプト軍部が空中に向けて銃弾を放ち、次にコプト教徒の方向に向けて銃弾を放ったという。
コプト教徒の側にいた目撃者がAINAを通して話したところによると、「私たちはコプト教徒の側におり、イスラム教徒たちは別の側にいました。彼らはコプト教徒数百人を負傷させました。イスラム教徒たちはエジプト軍部の戦車の陰に隠れながらも銃弾で攻撃してきました」という。
この衝突事件を目撃した弁護士のワギ・アンウォ・アブ・サード氏はフリー・コプティック・ボイスに対し「エジプト軍はイスラム教徒を保護していました。彼らは軍部の戦車の陰に隠れようとしていました」と述べている。
コプト教会神父のアブデルマセ・バセート氏はCNNに対し、「この衝突で殺害された人々はすべてキリスト教徒です」と述べた。さらに人的被害だけではなく、コプト教徒の8件の家屋と20件の廃品リサイクル工場が放火されたという。また30台のごみ収集車も放火されたという。
ムバラク大統領が辞任してからエジプト軍が同国を統制している。5日、コプト教会であるソウル教会が焼き払われてから、コプト教徒らはエジプトテレビ局のある建物の前に座り込み、エジプト軍が教会の安全を確保しないことに対して抗議デモを行っていた。エジプト国民の8~12パーセントはキリスト教徒であるといわれている。