ムバラク大統領が辞任し政権から退いて数週間が経過した。エジプト国内のキリスト者たちは新たな自由の時代への期待を抱きつつ、それがエジプトだけのものではなく、アラブ諸国全体に行き渡ることを願っている。
エジプトの首都カイロに住むクリスチャンのアブドル・アルラティフさんは、エジプトでは軍部が国民を支配しており、革命は困難な出来事だったことを証言し、「艱難に立ち向かうことは難しいが、艱難が恵みをもたらし、さらなる強い信仰をもたらしました。今後教会が大多数の国民に対し大胆に福音を宣べ伝えていけることを願っています」と述べた。
アラブワールドミニストリーのメディア部門エジプト担当のモフクリス・アミン氏は、UCBラジオに対し、「教会は新たなエジプトにおいて福音を形作っていく大きな責任があります。長い間、恐れの心が私たちを支配していました。エジプトのクリスチャンは逮捕されることを恐れ、あえてキリスト教について公に話そうとしませんでした。しかし今私たちは主がエジプトに自由と善き言葉、そして希望を与えてくださることを大胆に祈ることができます」と述べた。
アルラティフさんは反政府デモによって国民の安全は政府や銀行の預金残高によって守られるものではなく、ただイエス・キリストによって守られるものであるとし、「エジプトでの革命で、クリスチャンは全く異なる考え方ができるようになりました。人々は毎日教会に通い、毎朝祈ることができるようになりました。エジプト国内のクリスチャンに聞いたところ、エジプトの教会は朝7時に満席になっていると言います。教会のため、キリスト教指導者のため、イスラム教徒のため、エジプトのため、その他あらゆることのために熱心に集まって祈っています。エジプトで反政府デモによる改革が起こらなかったら、この様なことは決して生じなかったでしょう。このことにおいて神に感謝します」と述べた。
エジプトでムバラク大統領が辞任したことを受け、現在世界はリビアのカダフィ政権に注目を移している。これらの独裁政権下では教会による福音宣教活動は厳しく規制され、事実上不可能にならざるをえない。エジプトのキリスト者たちは古い秩序から新たな秩序に置き換えられ、民主主義の原則と国民の平等、宗教の自由が適用された国家となることを願っている。
アミン氏は「神は国々を揺り動かされる。アラブ世界にとって福音の声に目覚める時が訪れている。アラブの民は長い間暗闇に包まれていたが、ついにその暗闇のトンネルの終わりにたどり着き、光が見え始めた」とアラブ世界の福音化に対する希望を述べた。