『どんなことにもくよくよするな!』(イーグレープ出版)の著者、佐々木満男弁護士のコラムを連載します。ラジオ大阪で現在放送中の人気番組「ささきみつおのドント・ウォリー!」(放送時間:毎週日曜日朝9:30〜、インターネットhttp://vip-hour.jp/で24時間無料配信中)でこれまでに放送された内容を振り返ります。「ミスター・ドント・ウォリー」こと佐々木弁護士が、ユニークな視点から人生のさまざまな問題解決のヒントを語ります。今日はその第13回目です。
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「決断する」
あなたは、物事の白黒をはっきり決断して行動できるタイプですか。それとも、あいまいにしたまま、ズルズルと流されていくタイプですか。
問題解決の大切な要素のひとつは、「決断する」ことです。決断しないでいると、問題はズルズルと尾を引いて、いつまでも解決しません。多くの問題は決断を避けていると、どんどん大きくなってしまいます。決断するということは、要するに、「イエスかノー」をはっきりさせて、それを実行することです。「イエスでもない、ノーでもない」と、どっちつかずで曖昧な態度では、問題はなかなか解決しません。
例えば、友だちとレストランで一緒に食事をします。もしあなたがメニューを見て、肉料理にしようか魚料理にしようかと迷って、いつまでも決断しなかったらどうでしょうか。あなただけでなく、友だちも、ボーイさんも困ってしまいます。決断しないということは、自分だけでなく、周りの人たちにも迷惑になることが多いんですね。
それではどうしたら決断力を身につけることができるでしょうか。
「早く決断する習慣を身につける」ことではないかと思います。「まずは決断してみて、後でそれが間違いだと思ったらすぐにやり直せばいい」と考えるのです。「武士に二言はない」と言いますが、一度下した決断は、後で絶対に変更できないと思うと、なかなか決断できません。
誰と結婚するとか、自分の将来を決めるとか、あなたの人生を左右するような重大事は、時間をかけて慎重に考えた末、決断するべきことです。でも今何を食べようかとか、今日どこに遊びに行こうかとか、それほど重要でないことは、さっさと決断したらいいと思います。決めた後で気が変わったら、変更すればいいんです。
それと、問題の種類によっては、「前もって決断する方法を決めておく」のもいいですね。例えば、「迷った時は、原則イエスとする」というふうにです。どうしてもいやでなければ、みんなイエスと決断するのです。逆に、「迷った時は、原則ノーとする」でもいいですね。絶対イエスだと思えなければ、すべてノーと決断するのです。あなたの性格に適した方法をとればいいのです。
それから、少し重要な決断は、自分で「決断する期限をつける」ようにしたらいいですよ。「この問題については今週中に決断する」とか「あの問題については今月中に決断する」とか、自分で決めるんですね。そうすると、問題を集中して考えたり、情報を集めたりして、その期限までに決断せざるを得なくなります。
決断しないでいると、問題がもやもやしたままで、重荷になってきます。自分だけの問題ならまだいいとしても、あなたが決断しないために他の人たちにも重荷を負わせていると、それも大きなプレッシャーになってきます。
一度決断すると、次の道が見えてくるものです。そうすると前向きに動けるんですね。決断しないでいると、その問題に関しては身動きが取れません。それがイライラする原因になるんですね。
大きい問題の場合は、なかなか決断できません。そんな時は、まず関連する小さい問題から決断してみるのもいいかも知れません。決断しないでいる時はよく見えなかったことが、小さな決断で動き出してみると、よく見えるようになったりします。そして大きな問題に対して、「なんとかやれそうだからやってみよう」とか、「やはり難しそうだからやめよう」という決断ができるのです。
このラジオ番組の担当を頼まれた時、私はずいぶん迷いました。大勢のリスナーの方にお話して聞いていただけることはすばらしいことだ。でもそうでなくても忙しいのに、お話の準備ができるだろうか。ラジオ局で録音するために、しょっ中、東京から大阪へ往復することができるんだろうか。でもこう考えたんですね。「とにかく3ヶ月やってみよう。3ヶ月やってうまくいけば継続しよう。3ヶ月やってやはり無理なら、誰かに代わってやってもらおう」。そして、やってみることに決断しました。もう半年が過ぎました。だんだんこのペースに慣れてきて、これからも続けられそうです!
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佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。