天の御国は、しもべたちを呼んで、自分の財産を預け、旅に出て行く人のようです。・・・ひとりには五タラント、ひとりには二タラント、もうひとりには一タラントを渡し、それから旅に出かけた。五タラント預かった者は、すぐに行って、それで商売をして、さらに五タラントもうけた。・・・ところが、一タラント預かった者は、出て行くと、地を掘って、その主人の金を隠した。・・・よほどたってから、主人が帰って来て、・・・五タラント預かった者が来て・・・主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。・・・』・・・(マタイ25・14〜28)
今日の聖書は、有名なタラントのたとえ話です。ある大金持ちが、長い旅に出る間、財産の管理をしもべたちに委ねます。主人はしもべの能力に応じ、それぞれ五タラント、二タラント、一タラントを預け「賢く管理しなさい」と命じるのです。そして、五タラント預かった者は、すぐ出掛けて行き、それを用いて商売をし、さらに五タラント儲けます。二タラント預かった者も、同様に、さらに二タラント儲けます。主人が帰って来た時、預けたものを精算することになり、一人目のしもべは、預かった五タラントと共に儲けた五タラントを差し出します。主人は喜び「良い忠実なしもべだ」と褒めてくれます。そして、二人目のしもべも、預かった二タラントと共にもう二タラントを差し出し、やはり「良い忠実なしもべだ」と喜ばれるのです。ところが、三人目のしもべは「ご主人様。あなたは、種を蒔かない所から刈り取るような厳しい方だと噂に聞いていました。あなたの財産が減ると大変なので、恐くなり、地の中に隠しておきました」と預かった一タラントをそのまま返したのです。すると主人は「悪い怠け者だ。せめて、銀行に預けておけば、利子も一緒にもらえたのに」と怒り、しもべは、タラントを取り上げられるばかりか、外に放り出され、厳しい裁きを受けるのです。
あなたが、信仰をしっかり用いさえすれば、確実に大きな癒しの恵みがもたらされます。私たちに、生きて働く鍵となる信仰が与えられていることを、心から感謝したいのです。このたとえ話から、信仰の恵みをいただいたクリスチャンとして、二つのことを心に刻みつけましょう。
1.良い忠実なしもべを目指す
五万人以上の子どもが集う世界最大級の日曜学校の牧師、ビル・ウィルソン師(メトロ・ミニストリーズ・インターナショナル代表)は、「人生は、同じ所に留まり続けることは有り得ない。私たちが選ぶ選択肢は二つに一つしかない。成長し、前進する方向なのか。もしくは、滅びつつある方向なのか。現状維持とは、実は、停滞し、だめになることを選んでいる時だ」と語られています。
五タラント預かった者は、すぐに用いて商売をしました。やはり、能力があるとみなされる者は、単なる知能指数や試験の点数の高さではなく、与えられたものを躊躇せず用い、良いことをしようとするのです。一方、「怠け者」と叱られたしもべは、理屈は言うけれども、結局、何もしなかったのです。それは、だめになるのを選んだことに他なりません。クリスチャンである私たちは、常に、賞賛に値すること、神の御心にかなうもの、卓越したものを目指そうではありませんか。自分に与えられた信仰を用い、忠実に神の御心を行おうと成長することです。そうすれば、必ず祝福が与えられます。主から、「あなたに期待したことを、ちゃんと行なった」と言われるような信仰の働かせ方をしていこうではありませんか。
2.わずかな物にでも、忠実である
私たちは、人の持っているものや、人の置かれた状況は、よく見え、羨んでしまいます。でも、自分のこととなると、与えられたものはわずかで、こんなものではだめだと思ってしまいます。主人から叱られたしもべが、まさにそうでした。チャンスを与えてくれた主人を批判し、五タラント与えられた者とは違うとひねくれ、結局は何もしないでチャンスを逃したのです。
一タラントというと、わずかな額のように思えますが、一人の男が六千日働いて稼ぐ、ざっと、二十年分の賃金です。今のお金に換算すれば、五千万、一億円でしょうか。ものすごい金額です。それを、主人は預けました。でも、与えられた者はなぜかすねていました。私たちは、神に「タラントを下さい」と言います。でも、実は、私たちにはもう既に、タラントは与えられているのです。それを用いることができるかどうかなのです。用いさえすれば、何かが起こります。
主人は、「あなたはわずかな物に忠実であったから、たくさんの物を任せる。私の喜びを共に喜んでくれ」と言います。私たちは、どうも、途中のプロセスを抜いて、最初から、たくさんの物や主人が共に喜んでくれる楽しい時だけをもらいたいと思ってしまいます。でも、初めから、都合の良い結果ばかりを求めると失敗します。ないものねだりをして、人生を無駄にすることよりも、今、与えられている物で、何か行動を起こしていこうではありませんか。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。