韓国で先天性心臓疾患を患った生後2カ月の乳児が、輸血を禁じる宗教の信者である両親の反対で手術を受けることができず死亡した問題で、地元警察は4日、両親を調査した結果、遺棄致死容疑は適用できないと判断し、嫌疑なしで捜査を終結したと発表した。東亜日報が伝えた。
警察によると、乳児の死因は敗血症で、輸血するかしないかが問題ではなく、手術を受けさせなかったことと死亡とは直接的な関係がなかったという。警察関係者は「両親は莫大な手術費用に耐えながら治療に懸命だった。子どもを遺棄したり、放置したという主張は事実ではない」と説明した。
乳児は先天性心臓疾患のためソウルの病院で治療を受け、輸血の必要な手術を受けなければならないとの診断を受けたが、両親は宗教的理由からこれに反対。病院側は昨年10月頃、両親を相手取って裁判所に診療業務妨害禁止仮処分申請を提出。裁判所は病院側の主張を認め、「例外的な場合は、医療陣が客観的かつ合理的な資料に基づき、意思表現能力のない子どもの診療行為に対し、意思を推定した後、制限的かつ必須範囲内に限り、必要な診療行為を行うことができる」としたが、両親は乳児を同判断の法的効力の及ばない別の病院に移し、手術を受けさせなかった。乳児は3日後に死亡した。
昨年12月、この問題が報じられると、韓国では宗教的自由と生命権との対立について議論が巻き起こった。