今年7月に惜しまれつつ廃刊となり、約80年の歴史に幕を下ろした香川県小豆島の地域紙「小豆島新聞」の社長兼記者だった藤井豊氏(86)の蔵書を収めた「小豆島 藤井豊文庫」が同県土庄町の農業倉庫内に完成し、23日に設置式が行われた。同文庫には隠れキリシタンについての貴重な資料を含む約1万冊が収蔵される。四国新聞が伝えた。
小豆島新聞は1929年、藤井氏の妻・富治女(ふじめ)さんの父親が創刊。約20年後には藤井氏が経営を引き継ぎ、月3回のペースでピーク時には1000部以上を発行していたが、近年は約500部まで減少して経営が厳しくなり、藤井氏の体調不良もあって2076号で廃刊となった。
文庫作りは知人らの勧めを受けた藤井氏が、資料を多くの人に活用してもらおうと計画。「渕崎村里づくり推進協議会」(葛西孝通会長)の協力で蔵書の整理を進め、旧・JA渕崎支店の農業倉庫2階の約50平方メートルに設置した。
文庫には藤井氏が記事執筆時に参考にした四国や香川県、小豆島を中心とした歴史・文化・芸術関連の書籍や、研究を続けてきた隠れキリシタンに関する貴重な資料・自著など約1万冊を収蔵。小豆島新聞のバックナンバーもそろえる予定だ。
設置式には関係者約50人が参加。藤井氏は「当初は処分も考えたが、思い入れのある本ばかりで私の足跡。活用してもらい、島の発展に寄与してもらえば嬉しい」と話している。
閲覧開始は来春頃の予定で予約制。問い合わせは、葛西氏(090・7145・8008)へ。