北海道砂川市が神社に市有地を無償で使用させているのは憲法の定める「政教分離原則」に反するなどとして、同市民が違法確認を求めた訴訟で原告側は14日、市内で集会を開き、「土地の有償貸与で違憲状態が解消する」とした札幌高裁の差し戻し控訴審判決を不服として、今週中にも上告する考えを明らかにした。北海道新聞が伝えた。
札幌高裁は6日、市が提案した土地を有償で貸与するなどの解決策を「合理的で現実的」と判断。「市の案で無償貸与という違憲状態は解消される可能性が高い。撤去させないことが違法とは言えない」として、施設の撤去を求めた原告側の請求を退けた。
市の提案は鳥居や祠(ほこら)などの宗教的建造物を市有地の1ヶ所(約50平方メートル)に集約し、年間約3万5000円で氏子らに貸与するなどというもの。原告側の弁護士は「祠や鳥居を集めたら、一般的に見て神社の宗教性がさらに明らかになる」と強調。原告も「政教分離原則と信教の自由を獲得するため、最後まで戦う」と話している。
訴訟は一、二審ともに「違憲解消には施設撤去が必要」とした原告側が勝訴し、最高裁大法廷は今年1月、「一般人の目から見て、市が特定宗教に特別の便益を提供、援助していると評価されてもやむを得ない」としてこれを違憲と判断した。しかし、撤去以外に違憲状態を解消する方法がないか審理が必要として、札幌高裁に差し戻していた。