東京国際基督教会(東京都渋谷区恵比寿)が17日、創立50周年を迎えた。来日中の唐崇榮牧師が説教をし、同教会理事長である丁惟柔長老が港区麻布に初めての教会を建堂してから今日までの歴史を喜びの中で振り返った。この日は教会信徒、関係者を含めて総勢約200人が出席し、礼拝堂に入りきれなかった約20人が隣接する受付ホールにあふれた。
記念式典の説教では唐崇榮牧師が、自身の宣教生活も50周年を迎えたという二重の祝福に感謝をささげ、多くの牧師や信徒、家族と教会を与えられたこの上もない喜びを伝えた。
唐師は、「誰が神のよきしもべでしょうか」と会場に尋ねた。「牧師とは、神の理想を求める者であり、自分の理想や夢を捨て、神の召しに従う者である」とし、アブラハムが家を出て、100年間ずっとテント生活を続けていたことと、中国から世界に旅立ったクリスチャンたちの姿を重ね、「皆さんは祝福を受ける者である」と語った。
また、伝道者がするべき必要な奉仕として、伝道、牧会、教え、この3つが重要であることを強調した。「伝道しない教会は自殺する教会。牧会しない教会は健康ではない。教えを与える事の無い教会はいつまでも幼稚な教会のままです。しかし3つの仕事を広めていくなら前途は本当に輝かしいものとなります」と、これからも主に従い、忠実に情熱をもって福音を伝え広めていくようにと励ました。
続いて、丁長老が同教会の歴史を語った。はじめは教会を建てることに反対の声が多かった。賛成、反対の間で意見の対立が続いていたとき、ある伝道者が「教会を建てないのなら出て行きます」と声をあげ、賛成に手を上げた。それがきっかけとなり、教会を建設することで最終意見がまとまった。
神の導きは、土地探しの段階からはっきりと感じられた。教会に土地をささげた地主は神を信じていたわけではなかった。税務署からの徴収を受けるのが嫌で、ある時偶然、知人から非営利団体に土地をささげれば税の徴収を受けないという話を聞いて土地をささげることにしたという。丁長老は「その人は寺や神社でも構わなかったでしょう、しかし教会が建ちました」と当時の出来事が神の導きであったことを証しした。
土地の次は、教会堂を建設する費用の工面に苦労した。しかし「他の仕事がなければやってください」と、材木だけを用意した無償での建築奉仕を大工が引き受けてくれた。57年8月、教会員の身を削る献身があり、ついに念願の東京華僑基督教会(のちに改名、麻布国際教会)を建堂した。
丁長老は「いま集まる長老達はみな過ちもあり弱い、特別なこともしていない、ただ模範として神さまを見上げ続けてきた」「この教会は神さまに祈ろうと山に登ったりはしない、つまらないかもしれないが神さまを求める事に徹しました。聖書を勉強する以外にはない。小さい教会ですが、小さい神学生のような集まりです。私たちが豊作を迎えたのは、ただみ言葉を高く掲げていたからだと思います」と、教会が御言葉にねざした純粋な信仰によって発展したことを伝えた。
この後、牧師按手式があり、張國定博士が牧師団からの按手を受け新しい宣教発展の原動力として尽力する事になった。
張師は、「迷いもあった、死の谷の影を歩いた、主の慰めも経験した、振り返ると全て神の恵みでありました。感謝しています」とこれまでの信仰生活を振り返り、神からの新たな召命を受けた牧師として「命を捨ててくださった主に従い、歩んで参ります」と涙ながらに語った。
最後に会衆が声を一つに迫力ある賛美をささげ、張師が初めての祝祷をささげた。居並ぶ来賓と、あふれるほどに集まった教会信徒、関係者達は、これまで教会に注がれてきた神の祝福に感謝し、共に祈りあった。
現在の場所に教会を建てたのは77年3月、そのとき名称を新しく東京国際基督教会とした。