北海道砂川市が神社に市有地を無償で使用させているのは憲法の定める「政教分離原則」に反するなどとして、同市民が違法確認を求めた訴訟の差し戻し控訴審で、札幌高裁は6日、市が提案した土地を有償で貸与するなどの解決策を「合理的で現実的」と判断。施設の撤去を求めた市民側の請求を退けた。
問題となっているのは市有地上に町内会館と併設している神社で、最高裁大法廷は今年1月、「一般人の目から見て、市が特定宗教に特別の便益を提供、援助していると評価されてもやむを得ない」としてこれを違憲と判断したが、撤去以外に違憲状態を解消する方法がないか審理が必要として札幌高裁に差し戻していた。
市は鳥居や祠(ほこら)などの宗教的建造物を市有地の1ヶ所(約50平方メートル)に集約し、年間約3万5000円で氏子らに貸与するなどの案を提示。これを受けて末永進裁判長は「市の案で無償貸与という違憲状態は解消される可能性が高い。撤去させないことが違法とは言えない」と結論付けた。