最近は火山がテーマになっている映画が多いようだ。ほとんど地域的な大被害をもたらすというものだが、この『マグマ』という題の映画は地球大に影響を及ぼすというものである。なぜなら世界各地の休火山(なんと、わが富士山も)が続けざまに噴火し、人類は壊滅の危機に瀕するというシナリオなのだ。
超火山(スーパー・ボルケイノ)が噴火し、その影響で深海底下のマグマ活動が激しく流動的になり、海溝を伝わって全世界の火山を活性化してしまうのだ。というわけで、富士山もドッカーンと行ったのだ。
津波のように押し寄せてくるマグマ。噴火を止めるために人類は団結。海溝を核魚雷で破壊すべく、世界各国の原潜が深海に漂う。
火山の地球大のチェイン・リアクションは、映画の世界だけで、まずは起こらないようだ。つまり、この映画に描かれたような連鎖反応噴火を、多くの地質学者は予測してはいない。ただ、スーパー・ボルケイノの噴火が起こる可能性は大いにある。と言うより、この数十年間にすでに起こっている。
日本でもスーパー・ボルケイノがあり、一万年に一度程度の割合で発生していると言われている。直近としては、今から8万7000年前に九州の屋久島近海で発生したアカホヤ噴火が、南九州を焼き払ってしまった。この噴火により九州の南側が文字通り焼け野原になったのだ。
また、特に大規模だった噴火は、阿蘇カルデラ破局噴火だ。このクラスの噴火が起こった場合、周囲数百キロに残るものは何もなくなるそうだ。
イエローストーンの噴火は、上記のさらに10倍の噴火と予測されている。私は数回、この国立公園を訪れたが、どこでも硫黄の臭いがし、熱湯の池があちらこちらにあるし、熱湯が定期的に吹き上げる、いわゆる「OLD FAITHFUL」がある。これは世界最古の国立公園だが、およそ9000平方キロメートルあり、その同じサイズのマグマが地下に溜まり、動き回っていることが明らかにされている。
火山なのに山が見えないのが不思議だが、実は山の形まで吹き飛ばして、それを平らな高台にした、スケールの大きな噴火が起こったからなのだ。噴火すると山の形ではなくなってしまう。
そういえば、1980年に起こったワシントン州のセイント・ヘレン・スパー・ボルケーノ噴火は山の頂を削り取ってしまった。富士山なら雪をかぶっている部分が消滅したようなものなのだ。
しかし、この規模のものは予測可能で事前に察知できるので、今日突然ドカンと行くことはないようだ。
もし、イエローストーンが噴火すれば、この世界的影響は津波であり、さらに地球を覆ってしまう火山灰だ。場合によっては、その火山灰が太陽を長期間覆い隠し、氷河期をもたらすかも知れないという。この地球は恐ろしいエネルギーの爆発性を抱えているのだ。
さて、次の黙示録の描写は火山を象徴的に描いているものなのだろうか。
「地上の3分の1が焼け、木の3分の1も焼け、地の青草が全部焼けてしまった。」(8:7)
「口からは火と煙と硫黄とが出ていた。これらの三つの災害、すなわち、火と煙と硫黄とのために、人類の3分の1は殺された。」(9:17〜18)
この20年ほど、火山噴火の頻度が増加していることは素人にも明らかである。黙示録も火山噴火による災害を預言しているように思える。
平野耕一(ひらの・こういち):1944年、東京に生まれる。東京聖書学院、デューク大学院卒業。17年間アメリカの教会で牧師を務めた後、1989年帰国。現在、東京ホライズンチャペル牧師。著書『ヤベツの祈り』他多数。