聖公会の霊的最高指導者であるカンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ氏が17日、バチカン(ローマ教皇庁)を訪問する。英国国教会(聖公会)では8日、主教5人が同教会からローマ・カトリック教会へ移ることが決まったばかり。その直後の訪問でもあり、注目が集まっている。
ウィリアムズ氏は、17日に行われるキリスト教一致推進評議会の設立50周年記念式典に出席するためバチカンを訪れる。同評議会は、キリスト教間の一致を再築するため、カトリック以外のキリスト教諸宗派の対話を行うバチカンの機関。
教皇庁は昨年秋、聖公会からカトリック教会へ移ることを望む聖職者、信徒らに応えるための使徒憲章を承認。聖公会に属したままでカトリック教会と完全相互聖餐を認める方針を示し、16世紀にヘンリー8世の離婚問題で分裂が決定的となって以来、約450年ぶりの和解へ向けた動きを見せた。
同憲章では、聖公会出身者の扱いについてカトリック教会の教会法上の一つの組織である「属人的司教区(オルディナリアーティ・ペルソナーリ)」を用いる。通常は司教区が各地域別に所轄する形をとるが、属人的司教区では、軍隊生活などの特殊な状況や典礼上の理由から、そのための専用の司牧を必要とする一定のグループ単位での所轄が行われる。「属人的」とは信徒が地域に属するのではなく、その教区の責任者に属することを意味する。
この使徒憲章の承認により、聖公会内の保守派は属人的司教区へ入るための実質的な検討を行ってきた。そして、今月8日、ウィリアムズ氏は「残念」としながらも、女性主教の叙階に反対する保守派、アングロ・カトリックの主教5人がカトリック教会への移動することを承認した。来年にも主教5人らはカトリック教会に迎えられることになる。