米教会協議会(NCC)は9日から11日まで、1910年にスコットランドで開催されたエジンバラ世界宣教会議の100周年記念大会を、米ルイジアナ州ニューオーリンズで開催した。大会にはプロテスタントのエキュメニカル派諸教会やカトリック教会、正教会などの教派から約400人が参加したが、米キリスト教保守系シンクタンク「宗教民主主義協会」(IRD)は、今後のエキュメニカル運動には大きな改革が必要だと辛口の評価だ。
教派間の対話による和解と一致を目指すエキュメニカル運動は20世紀になって誕生し、エジンバラ世界宣教会議を源流として現代キリスト教における一つの潮流となった。その規模からこの流れにある諸教会はこれまで「主流派(mainline)」と呼ばれてきたが、IRDのマーク・トーレイ会長は「悲しいことに、少なくとも過去50年の間で、エキュメニカル派はサイドライン(sideline)へと色あせてしまい、今はもう相手にされなくなってしまった」と指摘する。
エキュメニカル系雑誌『クリスチャン・センチュリー』の編集者であるジョン・M・ブキャナン氏は、大会のスピーチで、「エキュメニカル運動のビジョンである教会の一致、これを具体化するためにみなさんはこの午後、ここにおられると思うが、これは福音に付け加えられた自由主義的なものではない。教会の一致は福音の中心にあるものだ。教会の一致は福音的な責務であり、『彼らが一つになり、世界が信じるようになるますように』(ヨハネ17:21)の通りだ。グローバル化し、多元的なこの世界で、一致なくして我々に真実性はない」と呼び掛けた。
ブキャナン氏自身は大会に参加できなかったため、ディサイプル教会のシャロン・ワトキンズ会長がブキャナン氏のスピーチを読み上げた。大会ではこの他、教会の多様性や他宗教間対話、次世紀におけるエキュメニカルな協力の展望についてなどの話し合いが行われた。
トーレイ氏は、ブキャナン氏の主張が真実なものだと認める一方、米クリスチャンポスト紙のインタビューに対し「残念ながら、NCCやWCC(世界教会協議会)などのグループは、一致ということを、多くの教派が所属する官僚的で中央集権的な組織を作り上げることだと解釈してしまっている」と厳しく指摘する。NCCの取り組む教会の一致に向けた動きは、時代遅れなものとなっていると言う。
トーレイ氏は、教会の一致を望むのであれば、エキュメニカル運動のための新たな方策を考えなければならないと述べ、官僚的で中央集権的な体制を改め、神学的には伝統的なキリスト教信仰により深く根ざし、西欧のプロテスタント自由主義から脱却し、世界的なキリスト教正統派の流れに沿うべきだと語った。