「・・・あなたがた自身が知っているとおり、この両手は、私の必要のためにも、私とともにいる人たちのためにも、働いて来ました。このように労苦して弱い者を助けなければならないこと、また、主イエスご自身が、『受けるよりも与える方が幸いである。』と言われたみことばを思い出すべきことを、私は、万事につけ、あなたがたに示して来たのです。」(使徒の働き20:34〜35)
今の日本の社会全体が不況で元気がないからと言って、あなた自身が暗い顔をする必要はどこにもありません。聖書ははっきりと、あなたは神の御霊が宿っている神の宮であると語っていますから、イエスの御霊を心の中にいただいて、燃やされたいのです。神が私たちに与えて下さるものは、喜び、勢い、救い、癒し、聖霊による恵みです。もう一度、私たちの信仰を整え直し、今年の残り2ヶ月間も、祝福された日々を与えられてまいりましょう。
今日の聖書は、パウロが遺言として、エペソから来た教会の指導者たちに語ったメッセージの締めくくりの部分です。それまで三度の伝道旅行をしていたパウロは、ちょうど神の都エルサレムに向かって三度目の旅から帰る途中だったのですが、彼はそこに大きな危機が迫っていることを察知していました。周りの人々からは、「エルサレムには不穏な空気を感じます」と言われ、預言者からは、「パウロよ、エルサレムに行くなら、迫害と逮捕が待っているぞ」と言われていました。しかし、パウロは危険な運命を神からの定めとして受け止め、エルサレムへと戻って行き、ユダヤ人に捕らえられてしまうのです。囚人となり、裁きの座に着きながら、当時世界を支配していたローマ帝国の市民権を持っていたパウロは、「裁かれるのなら、ローマの法廷でカイザル(皇帝)の前で裁きを受けたい」と願い出て、この後、ローマに送られていくのです。このように大きな危機が迫る中で、パウロがは自ら開拓し、共に人生を歩んできたエペソの教会の長老たちにメッセージを語ったのです。それは、本物のクリスチャンらしさとはどういうものかということでした。二つのことを共に学びたいのです。
1.受けるよりも与える方が幸いである
パウロは、「これは決して忘れられないイエスの御言葉で、私自身がこの御言葉にかけて生きてきたのです」と語りました。
私たちは、あれも欲しい、これも欲しいと欲望の奴隷になることが多いのですが、クリスチャンの原則は違います。与えられるよりも、もっと与えていくというのがクリスチャンとしての生き方です。祝福される毎日を歩むために、愛されるよりも、もっと自分から愛していくこと、人から大切にしてほしいでしょう、しかし、人を大切にして生きることです。私たちは、自分たちから流れ出る神からの愛や喜びの豊かさを確認しておきたいのです。
最近、バランスが狂っている人が増えています。収入よりも使いたいお金の方が多く、日本中が借金まみれです。いい服を着て、海外旅行に行き、おいしいものを食べても、それは幸せでなく、むしろ借金を生み出し、自分をがんじがらめにし、将来の不幸の種を蒔いていることに気づいていません。お金だけでなく、あなたの愛情や真心の使い方もバランスを崩していないか、充分に考えましょう。
誰かから愛してもらったら、あなたの方がちょっぴりでもいいから余分に愛を表すことを考えましょう。なぜなら、罪人である私たちが何もできない時に、見返りを求めずイエスが自分から命さえ与えて愛してくれたからです。クリスチャンの生き方は、内向きではなく、外向きです。
2.生きて働く信仰を実践する
パウロは、「受けるよりも与える方が幸いである」という原則を、ただエペソの人々に偉そうに説教しただけではありませんでした。パウロは、「イエスを知らず、滅びや破滅に向かってばく進中の人々を一人でも救えるように、今日まで、私のこの両手は働いてきました。私自身がこの手で事を行ない、汗を流し、くたくたに疲れ、万事につけ、一箇所に長く留っていた時も、伝道旅行をし、毎日場所を変えていた時も、イエス・キリストの福音の御言葉を語り、それを理論や屁理屈ではなく、実際に行動する信仰で一生懸命に表したつもりです」と語りました。偉大な神の僕であるパウロが、イエスの御言葉を毎日の生活の中で実行したように、私たちも、家族のためにも、仕事の人間関係にも、「受けるよりも与える方が幸いである」という恵みの原則を活かしてみようではありませんか。
クリスチャンは、誰の相談に乗る時も、世の中でそれだけ親切で真剣に奉仕したら、どれだけお金がもらえるか分からないくらい、一生懸命相談にのります。そういう私たちには、今度はお金や時間では計算できない神からの豊かな恵みが与えられてくるのです。与えることは、受けるよりも幸せなのです。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。