パンを食べて、麦茶を飲んで。私たちの生活とともにあるオオムギ・コムギ。古代から現代に至るまで私たち人間はムギのお世話にならない日はない。コムギに関しては、コメ、トウモロコシとともに「世界三大穀物」に数えられている世界で最も生産量の多い穀物だ。
聖書においてもムギは旧約・新約を通してところどころに顔を出す。上等の小麦粉は神への捧げ物として律法に規定されている(レビ記2:1)。また、ルツとボアズの美しい話の中にもムギがあった。「それで、彼女はボアズのところの若い女たちのそばを離れないで、大麦の刈り入れと小麦の刈り入れの終わるまで、落ち穂を拾い集めた。こうして、彼女はしゅうとめと暮らした」(ルツ記2・23)。
イエス・キリストと弟子たちの日々にもたびたびムギが登場した。ムギと毒ムギのたとえ(マタイ13・24〜30)、五つのオオムギのパンと二匹の魚で五千人の腹を満たした奇跡の出来事(ヨハネ6・5〜14)、ムギの穂を摘んで食べた弟子たちがパリサイ人たちから非難される場面(マタイ12・1〜8、マルコ2・23〜28、ルカ6・1〜5)もあった。
一粒のムギが地に落ちて死ねば多くの実を結ぶ(ヨハネ12・24)という主の御言葉を思い起こしつつ、感謝して味わいたい。