私の兄弟たち。さまざまな試練に会うときは、それをこの上もない喜びと思いなさい。信仰がためされると忍耐が生じるということを、あなたがたは知っているからです。その忍耐を完全に働かせなさい。そうすれば、あなたがたは、何一つ欠けたところのない、成長を遂げた、完全な者となります。(ヤコブ1:2〜4)
なぜ人生に苦しみがあるのでしょうか。原因はさまざまです。いろんな説明があります。しかし試練や苦しみは私たちを強め、祝福する秘訣です。戦いがなければ、勝利はありません。私たちの周りにある苦難や試練、問題や悩みは、悪魔のたたりやさわりではありません。また、前世の因縁や因果応報でもありません。神が私たちの人生を益するために送り出している尊い賜物なのです。
イエス・キリストは後ろ向きの人生ではなく、前向きの人生を与えてくださいます。環境に支配されるのではなく、その逆境を積極的に祝福に変える力を、神は与えてくださいます。圧倒的な勝利者となる人生です。
ある水族館に大量の魚を送ることになりました。技師が付き添い、水加減に注意しつつ、二週間かかって運びました。しかし、水族館に着いた時には、ほとんどの魚が死んでいました。
今度は、魚を入れた水槽に、それぞれタコを一匹ずつ入れました。タコは水槽の中で、魚を捕らえようと手を伸ばします。魚は命懸けで逃げます。またタコは手を伸ばす、魚は逃げる。追いつ追われつの二週間、魚はヘトヘトに疲れましたが、一匹も死んでいませんでした。
最初の魚はなぜ死んだのでしょうか。海の中では潮の流れに逆らい、敵の襲撃に気を遣い、動き回っていたわけですね。しかし、水槽の中は平穏そのものでした。二回目の時のタコは、自分が利用されているとは気付かなかったけれども、用いられたのです。タコがいたから、魚は助かったのです。
人生の試練も同じです。それはあなたの人生を前向きにし、向上させ、祝福するためにあるのです。イエス・キリストを信じる時、それがわかります。十字架のもとにいる時、それは神の祝福となります。
榮義之(さかえ・よしゆき)
1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、エリムキリスト教会主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。