英国国教会がローマ・カトリック教会から分離して以来、教皇としては初めてベネディクト16世が英国を訪問した。各メディアも取り上げ注目を集めた。同国のプロテスタント教会組織である福音同盟の代表も訪英を歓迎するコメントを発表した。同国で進む世俗化への対話で有益だというのが大きな理由のようだ。
世界的に見て近年は特に、アジア、アフリカでのキリスト教の復興が著しい。一方で、欧州では教会離れが進み世俗化が深刻だという。
世俗化が進んだと言うとき、それは外面的な事象だけでは判断できない。「神なし」の世界が聖書でいう「世」であり、その世界観が広がることが世俗化と言える。神なしの世界と言っても、神がいなくなるわけではない。神の存在を無視、否定し、人間自らの力のみで生きていこうとする世界だ。
この世俗化との戦いは、英国のようなキリスト教国であろうと、クリスチャン人口が1%の日本であろうと、先進国では特に大きな課題だ。成熟した社会で、とりわけ知的な戦いとなるのがこの世俗化との戦いだ。
この戦いで重要となるのは、相手にはなくてわれわれにはあるもの、つまり「神へ対する信仰」であることは言うまでもない。神をよりどころとせずに行動するならば、それは本質から逸れた虚しいものに終わるしかない。より知的、より複雑に見える問題こそ、まずは神へ対する信仰という根本を見つめ直し、これを確固なものと定めて臨むべきであろう。