エペソにある教会の御使いに書き送れ。『・・・「あなたはよく忍耐して、わたしの名のために耐え忍び、疲れたことがなかった。しかし、あなたには非難すべきことがある。あなたは初めの愛から離れてしまった。それで、あなたは、どこから落ちたかを思い出し、悔い改めて初めの行ないをしなさい。もしそうでなく、悔い改めることをしないならば、わたしは、あなたのところに行って、あなたの燭台をその置かれた所から取りはずしてしまおう。…耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。・・・」』(黙示録2:1〜7)
最近、JAXAがH2Aロケットの打ち上げに成功しました。今回打ち上げられた中心的な衛星は、全地球測位システム(GPS)を司っており、現在地を知らせる電波が、私たちに道案内するカーナビや携帯に届いているのです。その衛星は、クリスチャン用語のような「みちびき」という名前なのですが、感謝なことに私たちクリスチャンの人生には、起きていようと眠っていようと、それ以上のまことの神の導きが24時間注がれているのです。GPSは、ビルの谷間や山の森深い所に入ると、電波が届かなくなってしまいがちですが、私たちが信じる神には、そのようなことは一切ありません。私たちが生まれる前から選び出して下さり、人生全部について、主イエス・キリストの導きが与えられていることは、なんと幸いなことではありませんか。
先週は、敬老のお祝いをさせていただきましたが、神の不思議な導きにより歩ませていただけることは本当に感謝なことで、そこに本物の価値が輝くのです。日本は今、高齢化社会ですが、長寿になればなるほど、人生や長生きする意味が深く問い直されなければならないのです。
今日開いた聖書は、神からのメッセージが暗示されているヨハネの黙示録です。世の終わりに裁き主として来られる主イエス・キリストが、当時の実在する七つの教会に書き送れと厳しく命じられた七つの手紙が披露されていきます。当時の教会を指導する手紙でありながら、今の時代のクリスチャンに宛てた、まだ世の中で起こっていない事柄に対する神の教えや特別な奥義も含まれています。
2章では、パウロやヨハネの伝道によって建て上げられたエペソの教会の人々に手紙を書き送れと、キリストは言われています。私たちは、時代の流れを超えて、どのような信仰を持たねばならないか、2つの大切なことを学び取りたいのです。
1.年月の中で積み上げられた信仰こそ、価値がある
キリストは、「わたしは、あなたの行ないと労苦と忍耐を知っている」と語られ、エペソの人々の信仰を認めています。度々迫害され、捕らえられ、拷問を受け、財産を没収され、指導者の中には殉教していった者もいました。でも、試練や苦痛の中で踏ん張り通し、実際に生き抜いた本格的な信仰をエペソの人々は持っていたのです。今私たちの周りでは、「今さえ楽しければ明日のことなんて、どうでもいい」という、刹那的な生き方が大流行し、自分のわがままや都合をわかってもらいたいという人ばかりです。苦しいことが起こるとすぐへこたれ、逃げ出し、あきらめてしまうという風潮が信仰生活の中にも入ってきています。
しかし、イエスご自身が価値あると認められたのは、苦労や悲しみがあろうと、働かせ続ける信仰です。気がつけば、イエスに猫かわいがりされたり、教会の皆からちやほやされたりすることばかり願うようないい加減な信仰で終わっていませんか。人生には、楽で、楽しいことばかりが起こることは有り得ません。本物であればあるほど、ため息や涙の時もあるのです。でも、本物は、コツコツ積み上げられて、本当の輝きを出すのです。ひとりひとりがキリストの僕とされたことを思い出しましょう。今度は救われた私たちがキリストに仕え、キリストの御心を実現していくのです。
2.信仰の原点に常に立ち返る
キリストは、「あなたがたは、あんなに信仰の輝きがあったのに、いつ信仰の座から滑り落ちたのか」とエペソの人々に語っています。
救われて間もない頃、キリストの愛に触れ、「全てを捨てて、あなたに従っていきます。私の人生、心、力、寿命、隅から隅まで私を用いて下さい」と祈った私たちではありませんか。捧げることにおいても、奉仕することにおいても、キリストの命がそこにない、そんな教会は恵まれません。
注意しなければならないことは、初めの愛に立ち返るということです。分かり切ったつもりで信仰の初心を忘れた時、そこには祝福はありません。キリストが注がれた初めの愛以外に、私たちが身を置くべき所はないのです。そして、主は、「勝ち抜いて、勝ち抜いて、本当の勝利を得る者に、神のパラダイスにあるいのちの木の実を与えよう」と言われています。主が認めて下さるのは、単なる気持ちではなく、実際に体験する様々なつらい試練を乗り越えた疲れを知らない躍動感ある信仰です。
私たちは悔い改め、主の僕としての心を取り戻したいのです。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。