「世界最大の花」とされるショクダイオオコンニャクが、東京大学の小石川植物園(東京都文京区)で開花し話題を呼んだ。通常は1日100人程度の来園者だが、開花前後の1週間だけで1万人以上が来園した。見学希望者が殺到したため入園を停止するほどであった。
同園での開花は91年以来19年ぶりで、種を蒔いてから実に17年目の開花だという。全国でも6例目と珍しい。強烈な腐敗臭を放ち虫を誘うことで知られているが、高さ約1・5メートル、直径約80センチという大きさが人も引き付けたようだ。
世の価値基準には大きく2つある。1つは優越性で、1つは希少性だ。ショクダイオオコンニャクは世界最大という優越性と、全国で6例目また開花期間が2日程度という希少性の2つを持ち合わせていた。
優越性は「ナンバーワン」であることだ。こちらは競争が熾烈だ。希少性は「オンリーワン」であることだ。こちらは競争相手は少ないが、同じような存在が増えればそれだけで自身の価値はゼロと等しくなる。どちらも他者によって価値が変わる相対的な基準だと言える。これらの基準がプラスに働くこともあるだろうし、弊害をもたらすこともある。
しかし、われわれはもう一つの基準を考えるべきだ。神の前に義人か罪人か。神は絶対者であるからこれは絶対的な基準だ。「あの人よりはまし」というような善悪の基準ではない。移りゆく基準で行動する前に、変わらない基準で自分を見つめるべきだ。