石川県白山市の市長が地元神社の大祭の関連式典に出席し祝辞を述べたことが憲法の定める政教分離の原則に違反するとして、住民男性が支出された公費の返還を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は22日、違憲とした2審判決を破棄し男性側の請求を棄却。男性側の敗訴が確定した。
問題とされていたのは同市長が05年、市内の一般施設で開かれた地元神社の大祭の関連式典に公用車で出席して祝辞を述べたというもの。住民男性側はこの際使われた公費約1万6000円の返還を求めて提訴。1審金沢地裁は請求を棄却したが、2審名古屋高裁金沢支部は「宗教的活動に当たる」と判断し、市長に公用車経費の一部2000円の返還を命じていた。
同小法廷は判決を下すに当たり、最高裁大法廷が1977年に津地鎮祭訴訟で示した「目的が宗教的意義を持ち、効果が宗教への援助、助長になるかどうか」との判断基準を踏襲。大祭が「地元にとって重要な観光行事である」こと、式典が「一般施設で行われた」こと、祝辞が「宗教的色彩を帯びない儀礼的行為の範囲である」ことなどを指摘し、合憲と判断した。