インターナショナルVIPクラブは6日、国際医療コンサルタントの武藤昭男氏(フィリップスメディカルシステムズ顧問)を講師として招き、定例夕食会を東京・大手町で開催した。クリスチャン企業人やキリスト教関係者など、約30名が参加。武藤氏は、詩篇103篇2節にある「主の御計らいを何一つ忘れてはならない」をテーマに、クリスチャン企業人として生きてきた自身の生を証した。
講演で武藤氏はこれまでの自身の歩みを振り返り、人生における数々の転機を語った。高額医療機器大手の独シーメンスに勤務していた当時、自分の人生のあり方について深く考えるようになった武藤氏は、「人間は誰もが死ぬ。死に方は選べない。しかし人生はやり直しができるものではないか・・・」と自分自身に問いかけるようになったという。その結果、武藤氏は勤めていた会社を辞めて独立することを決心。年齢はすでに定年間際に近づいていた。
しかし、独立した武藤氏を待ち構えていたのは皮肉にも挫折と失敗だった。事業は失敗し、多額の負債だけが残った。信仰を持って生きてきたつもりだった武藤氏であったが、「そのときはさすがにどうしていいかわからなくなった」と当時を振り返った。
「負債をどうしようか」と必死に悩んでいた武藤氏は、当時の自分の姿を、湖の上を歩いていたイエスを追いかけて水の上を歩いたが、風を見て怖くなり、「主よ。助けてください」と叫んだペテロの姿に重ねた。「信仰を持っていたし、信じていたつもりだった。しかし一時的には主のことばに力づけられても、『社会』という嵐が来るとすぐ不安になってしまった」と証した。
そんな武藤氏をいつも励まし支えてくれたのは、旧約聖書にある詩篇103篇の「わがたましいよ。主をほめたたえよ。主の御計らいを何一つ忘れてはならない」という一節だった。「落第しても今私は生きている。主の御計らいがある。負債の返済方法はさておき、私が最初にすべきであり、また最後にすべきことは主をほめたたえることではないか」と思った。武藤氏はそのとき「生きるとは何なのか」と再び自問し、自分が生きている意味について真剣に考えたという。その結果たどり着いた答えは、「主をほめたたえることこそ私が生きている理由である」ということだった。
武藤氏は、「当時と今で違うことは今は負債を抱えながら生きることに恐怖がなくなったことだ」と証しした。さらに、「返済の方法を模索してジタバタしてもどうしようもない。その状況に合わせて出てきたことをするのが最善の道だ。負債を返していくことがかえって仕事を絶え間なくできる機会になる」と肯定的に考えることができるようになったという。
「人間は必ず死ぬ。何もしなくても死ぬ。しかし命が与えられている限り、やりなおしはできる」
武藤氏は現在65歳。若いときではなく定年間際になってから起業を決意できた力の源は、まさに「神を信じる信仰」にあった。