先月末にカナダ・トロントで開催され20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の首脳宣言について、国際NGOのワールド・ビジョンは、ミレニアム開発目標(MDGs)達成の重要性が再確認され、開発に関する作業部会の設立が合意されたことを歓迎した。一方、作業部会が明確な説明責任と誓約を持つ必要があるとして、作業部会の常設化を求めた。
先月27日に閉幕したG20サミットでは、先進国の財政健全化と景気刺激策の両立が最重要テーマとなったが、途上国の開発援助、地球温暖化の問題なども主要なテーマの一つとなった。
首脳宣言では、世界経済の安定的で持続的な成長には、開発格差の是正と貧困の撲滅が必要不可欠であることを認め、開発に関する作業部会を設立することで合意。作業部会は、今年11月に韓国ソウルで開かれる次回サミットまで、開発に関する議題と複数年の行動計画を作成することになる。
ワールド・ビジョンは、経済成長と財政健全化に対する取組みと同様に、G20が途上国の開発と貧困削減に取り組む必要があると訴えており、作業部会の常設化のほか、MDGsの8つの目標のうち特に遅れている母子保健、飢餓分野の目標達成に向け速やかな改善を求めた。また、乳幼児死亡率が高い国への支援についての戦略策定が特に必要であるとしている。
ワールド・ビジョンによると、世界経済を牽引するG20においても、基本的な保健医療サービスを受けられなかったために死亡した5歳未満の子どもの数は毎年250万人に上る。これは、世界の年間乳幼児死亡数880万人の約3分の1に相当する。
ワールド・ビジョンのアドボカシー(政策提言、権利擁護)ディレクターであるスーザン・ムバヤ氏は、「自国において、予防・治療可能な要因で多くの子どもや母親が命を落としているならば、どうして自らを責任ある国際社会のリーダーと呼べるのか。政治的意志をもって取り組むならば、救えるはずの命を守ることができることは明らかだ」と指摘した。
今年9月には米ニューヨークの国連本部でMDGsのハイレベル会議が開催されるが、首脳宣言でも同会議について言及。今年が開発問題における特に重要な年であることを指摘した。