英国のキリスト教系保険会社であるエクレシアスティカル保険の上級投資アナリスト、ネヴィル・ホワイト氏は、現代の倫理的な投資が非倫理的な投資を避けるだけという従来の型を超えてより積極的なものとなりつつあり、投資が教会の宣教を助けることも可能だと語った。
社会的責任投資(SRI=Socially Responsible Investment)を専門とするホワイト氏は、英国の資産運用会社が主催するカンファレンスで、SRI分野において多くの新しい機会が開かれつつあると語り、宣教と関係する事業に対してより積極的に投資することが可能になっていると強調した。
SRIとは、企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibility)の状況を考慮して行う投資のことで、企業の環境問題への対応を評価して行う投資などがこれに含まれる。米国の教会が資産運用をする際にギャンブルやアルコール、たばこなどを扱う業種を除外したことがその始まりとされており、現在世界全体では300兆円規模の投資分野となっている。
ホワイト氏は、SRIの成功例として貧困者に対して小口の融資や保険を提供するマイクロファイナンスを挙げた。一般金融機関の貸付対象から外れてしまう貧困者に対して小口の融資を行うことで、貧困者の自立をサポートし、貧困自体の削減という社会的問題の解決に貢献するものだ。
「倫理的にまた責任ある方法で、信仰と資本、宣教の間に接点を持たせることは非常に可能性のあることだ」と言い、宣教を総合的にサポートする投資の将来性を強調。多くの教会が投資に対して消極的で現状を認めつつも、SRIが経済的な利益よりも社会的な利益を優先にしているものであり、神学的に保護されうるものだと語った。