【CJC=東京】ユダヤ人への伝道団体『ユダヤ人をイエスへ』(JFJ)の創設者モイシェ・ローゼン氏が5月19日、前立腺ガンのためサンフランシスコで死去した。78歳。
1973年に設立したJFJは文字通りにユダヤ人の間にイエスをメシア(救世主)として受け入れる人を数千人規模で生み出すに至った。現在11国で宣教者200人が活動しており、「メシアニック・ジュー」と呼ばれるユダヤ人キリスト者の組織としては世界最大ともされている。
コロラド州デンバーで、東欧からの移民で伝統派ユダヤ教徒の家庭にの子として生まれたローゼン氏は1953年、セシル夫人と共にキリストを受け入れた。両親の反対は強く、言葉を交わさなくなったという。
ニュージャージー州にあるノースイースタン・バイブル・カレッジで学んだ後、67年にコロラド州ウイートリッジのトリニティ・バプテスト教会で牧師に按手された。その後の5年間、『アメリカン・ボード・オブ・ミッションズ・トゥ・ザ・ジューズ』というユダヤ人対象の伝道団体で活動、73年に『ユダヤ人をイエスへ』を設立した。
JFJは大学、ショッピングセンターや繁華街の街頭などで、伝道文書を配布、道行く人に呼び掛けている。ローゼン氏は、ユダヤ人のゴスペル・ミュージック・グループや劇団なども結成し、育成に努めた。
「今日のユダヤ教には、キリストの立つところがないので、救いもない」と、死去発表直後に同団体のサイトに掲出された記事でローゼン氏は語っている。
キリスト教宣教者の努力はユダヤ教の伝統に沿ったものだというローゼン氏の考えは、ユダヤ人指導者との間で紛糾を呼んでもいる。「精神的な大虐殺を図っている」「ユダヤ教の完全破壊を狙っている」などの批判もある。