核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて、長崎原爆を受けた浦上天主堂の「被爆マリア像」を携えて渡米中のカトリック長崎大司教区大司教の高見三明氏は2日、ニューヨークの聖パトリック大聖堂で開かれた日米合同ミサに参加、長崎の被爆者や日米の信徒ら数百人を前に「核兵器のない世界」をアピールした。また、NPT再検討会議が開幕した3日には国連本部を訪れ、国連事務総長の潘基文氏と会談。被爆マリア像を見せながら「世界のリーダーには、核廃絶に向けて勇気ある一歩を踏み出して欲しい」と訴えた。
ミサで高見氏は「被爆マリア像を平和の象徴にしたい。多くの被爆者が核兵器をなくすための行動に参加している」などと語った。この日、被爆マリア像は祭壇に置かれ、参列者は像の前で祈りを捧げた。
ミサにはNPT再検討会議で議長を務める国連大使のカバクトゥラン氏も参列。ミサの後、会談した高見氏によると、カバクトゥラン氏は「世界の人々に核の恐ろしさを意識してもらうため、こうした行動は重要」と話したという。
被爆マリア像は1929年、浦上天主堂の祭壇に飾られた木製のマリア像。原爆投下で倒壊した天主堂の瓦礫の中から、頭部だけになって見つかった。被爆の影響で目は空洞になり、顔には焦げ跡が残る。現在はこのマリア像を世界遺産に登録しようという運動も行われている。