・・・感動した者と、心から進んでする者とはみな、会見の天幕の仕事のため、また、そのすべての作業のため、また、聖なる装束のために、主への奉納物を持って来た。・・・また、心に知恵のある女もみな、自分の手で紡ぎ、その紡いだ青色、紫色、緋色の撚り糸、それに亜麻布を持って来た。・・・イスラエル人は男も女もみな、主がモーセを通して、こうせよと命じられたすべての仕事のために、心から進んでささげたのであって、彼らはそれを進んでささげるささげ物として主に持って来た。(出エジプト記35章20節〜29節)
今日開いた聖書は、3500年も前の出来事ですが、私たちはそこに同じ信仰者としての姿を見るのです。
神は、400年にわたって奴隷生活を強いられたイスラエル人たちを助け出そうと、指導者となるモーセを立てて下さいました。そして、モーセに導かれたイスラエル人たちは、様々な奇跡によって、エジプトから大脱出をします。そして、約束の地カナンへの旅が始まるのですが、その荒野の旅の中で、神はモーセを通して「十戒」と呼ばれる神の掟を与えて下さいました。
そして、「石の板に記された律法を納める箱をつくり、それを安置する幕屋、『移動式の神殿』を建てるように」という命令を与えられたのです。その中心には、聖所と呼ばれる神の臨在を現す場所があり、その奥には、神の臨在を保証する、律法の板を納めた契約の箱が安置された至聖所がありました。
では、この時、どうやって幕屋を建てたのでしょうか。今の時代の公共事業とは違います。国の予算があるわけでもないし、十分な建設機材や資材があったわけではありません。「自分たちの持っているものを神のためにささげて、実現しなさい」。そのように神はイスラエル人たちに命じられたのです。
神の働きは、信仰によって応じる人々によって実現されていったということを、私たちは知りたいと思います。信仰によって神に応答する者がいてこそ、神の御業は現実となります。
1.神に向かっての積極的な心の態度
信仰によって応じる人々とはどういう人でしょうか。それは、神に向かって積極的な心の態度を整える人、前向きな心の態度を持つ人です。
今の世の中に流行っているのは、それとは正反対の態度です。何かあると文句や愚痴、不平、不満を言う、人を批判して、自分では何もしようとしない、そんなひねくれた難しい人が世の中にあふれています。
しかし、批判していても何も起こりません。私たちは、クリスチャンとして、神に喜ばれる心の態度を整えておきたいのです。聖書の中の神の恵みを実現していった人々は、素直に神からの御言葉に感動した人々でした。心から進んで、「私もそうしたい」と思った人々でした。人から言われるまでもなく、すべて自ら進んでささげようとしましたし、「これをやってみよう」と素晴らしいアイディア、知恵が与えられ、それを神のために実行したのでした。神によって良いと思ったことを素直に行動し、奉仕であろうとささげ物であろうと、すべて心から進んで実行しようとしました。そういう人々が神のご計画に用いられていったのです。
一歩社会に出た時、時には喜怒哀楽を出さずに、クールにふるまうことも必要であるのかもしれません。しかし、神の前に立つ時には、感動しやすく、素直に行動させていただきたいと思います。今、私たちの心を素直な思いで統一しようではありませんか。
2.すべてのものを用いようとする態度
この物語の中でも、22節では、飾り輪、耳輪、指輪、首飾りなど、自分の持っている貴金属、宝石、良い物をすべて神に持ってきています。また、25、26節では、物を持っていなくても、自分の手で糸を紡いで、材料がなくても、何か生み出していこうとしたわけです。自分の力や器用さ、真心、時間を用いて、自ら手作業をして撚り糸からでも作ろうとしました。高価な物でも、粗末な材料であっても、自分の周りの可能性のあるものをすべて、神のために用いていこうとするはっきりとした態度が、彼らにはありました。
今の世の中は正反対です。皆、人からしてもらうことばかりを考えています。自分の権利ばかり主張し、自分から与えることや、奉仕すること、創意工夫で働こうという思いが欠如しています。
イエスは私たちに、仕えることで神の愛を示して下さいました。ヨハネの福音書13章が語るように、主はご自分の最期の時が近いと悟ると、最後の最後までご自分の愛を弟子たちに示されました。最後の一滴まで、ご自分の血潮を十字架の上でささげて下さったのであって、主ご自身も持ちうるものすべてを私たちのためにささげて下さったのです。
私たちは、自分が救われただけでは終わらない、証しをし、伝道をし続ける教会として、皆で力を合わせ、神の前に力を注ぎ出していきたいと思います。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。