イエスが隣人愛について語ったこの物語は、キリスト教成立期以来、さまざまな場面に描かれ、時代を経てその描写は変容してゆく。旅人を襲う「強盗」が「悪魔」として、「サマリア人」が時に「イエス・キリスト」として、聖書テクストから逸脱して描かれることもあった。これは、キリスト者がいかに聖書を解釈したのかという信仰の表象でもある。本書は、それらの寓意的描写をうながした教父や神学者たちによる聖書釈義の伝統を踏まえ、図像プログラム全体のコンテクスト、および、儀礼・典礼など宗教的実践との密接な結びつきにも留意しながら、テクストと図像との交錯した関連を考察する。「よきサマリア人」の譬えが描出された主要作品カタログを収録。(購入する)
著者: | 細田あや子 |
価格: | 税込6,720円 |
出版社: | 三元社 |
発売日: | 2010年4月 |
ページ: | 543ページ |
【著者紹介】
細田あや子(ほそだ・あやこ):1964年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。ハイデルベルク大学大学院博士課程修了(Dr.phil.)。新潟大学人文学部准教授。