【CJC=東京】中国国務院国家宗教事務局の王作安局長は、3月26〜31日に香港を初めて公式訪問したが、その際、本土の非公認「家の教会」の役割を軽視する発言を行い、現地のキリスト者の反発を買った、と世界キリスト教協議会系のENI通信が報じている。
王局長は3月27日、香港プロテスタント教会の指導者と会見した。王氏は、教会共同体は、中国では自身の保護のために登録する必要があると、語った。
「家の教会」が登録しないのは、教会の名のもとに集めた金を自分の収入としたいためでもあり、紛争を起こして所属していた教会から独立したり、神学上の不一致だとか、理由はさまざまだ、と言う。
王氏は、人々が海外のグループに影響されて、「家の教会」こそ真の教会だと信じている、と語った。香港の『クリスチャン・タイムズ』(電子版)が3月29日報じた。
「中国は宗教的な領域で非常に多くの課題に対処する必要がある。香港の宗教的多様性は分かるが、中国は地理的に広大であり、状況は複雑だ」と言う。
中国にはキリスト者が2000万人以上いるが、登録教会で礼拝しているのは1600万人。残り400万人が登録教会に属していない、という。政府は、キリスト者を正確に集計したいが、それが誤解されることを懸念している、と王氏は語った。
王氏の発言に、北京の「家の教会」の指導者ユー・ジェ氏が反論、そのような登録は合憲で聖書の原則に従うものでなければならない、とENI通信に電子メールでメッセージを寄せた。
「私たちは、民間の機関に登録するなら良いが、宗教関係の当局に登録したくはない。市民の信教の自由に介入することで、“違憲”だからだ」と言う。登録が三自愛国運動と関連するものなら、「それは本質的に政治的なものであり、聖書の教えによれば教会組織とは認められない」、と理由を挙げている。
ユー氏は、「家の教会」の登録が当局に認められなかった事例もあり、それで非難されたり、「家の教会」に攻撃が加えられるのは根拠がない、とも付け加えている。
今回の王局長訪問は、香港の仏教、カトリック、儒教、イスラム教、プロテスタント、道教の指導者会議の招待によるもの。香港には、中国本土の宗教関係法が適用されていない。
王氏は、社会の発展のための宗教間の協力を評価、中国本土と香港の宗教間のさらなる協力にも期待を表明した。