【CJC=東京】マレーシアのカトリック教会側は3月7日、イスラム教誌『アル・イスラム』からの謝罪を受け入れた。同誌が昨年5月号に掲載した記事によると、記者2人が、クアラルンプールの聖アントニオ・カトリック教会のミサに参列、聖体のパン(ウェハス)をを受け、半分噛んだものを吐き出し、写真を撮った。教会に入ったのは、イスラム教徒が不法にキリスト教へ改宗している、との声を調査するためだったという。
同誌は、「キリスト教信仰を侮辱する意図はなく、押し入って妨害しただけ」と発行者『ウツサン・カリャ』社のサイトに、記事掲載を謝罪する声明を6日掲出した。
謝罪は、クアラルンプールのマーフィー・パキアム大司教が、事件に対する政府の「対応のミス」を批判したことから、緊張緩和のために行われたものと見られる。
「わたしたちは、公式謝罪を受け入れる。称賛に値いする」と、カトリック系『ヘラルド』紙の編集長ローレンス・アンドリュー神父は語っている。
イスラム教徒圧倒的多数のマレーシアでは、この所、宗教紛争に悩まされている。イスラム教徒以外が「神」を表す時に「アラー」を使うことをめぐって、教会やモスクに火炎瓶が投げ込まれるなどの事件も続発した。
マレーシアの総人口2800万の内でキリスト者は約9%。カトリック信者は85万人とされている。