【CJC=東京】アフリカ中西部ナイジェリア中部プラトー州の当局者によると、州都ジョス南郊のキリスト者が多数を占めるベロム族の村3カ所で3月7日早朝、イスラム教武装グループとみられる集団の襲撃があった。同州当局者は8日、200人以上が死亡、32人が負傷し、容疑者26人が拘束されたと述べた。
虐殺された人の数は正確に把握されてはいないものの、ドゴハハウワ、ゾット、ラットサットの各村でイスラム教武装グループに500人近くが殺害されたと見られる。生き残った村民は自宅を離れ避難し、隣接するバウチ州の赤十字キャンプには約600人が収容されている。
プラトー州は、ナイジェリアでイスラム教徒が優勢な北部とキリスト教が優勢な南部との中間に位置している。ナイジェリアでは人口を二分するイスラム教徒とキリスト者の対立に、数百にも分かれる民族同士の紛争が絡み、住民間の衝突が後を絶たない。
病気療養中のウマル・ムサ・ヤラドゥア大統領の代理を務めるグッドラック・ジョナサン副大統領は、同州と近隣の州に厳重な警戒を呼び掛けるとともに、治安部隊に犯人の追跡を指示した。
武装グループは、家屋に放火、3時間にわたって逃げ出す住人にイスラム教徒が使うフラニ語で「誰だ」と問い、答えがないと殺した。女性と子どもが狙い撃ちされた。
逮捕された20歳の青年は、家族への迫害に対する報復行動と主張している。現地警察署長は、加害者は殺害実行で報酬を受けていたとしたものの、詳細は明らかにしなかった。
政府が問題に関与しないと信じている住民と警察との間で緊張が高まっている。首都アブジャでは10日、政情破局から失業までに政府の行動を要求して、数千人が抗議行動を行った。ジョスでは、黒衣に身を包んだ女性数百人が聖書や木製の十字架、マンゴーの枝などを持って行進した。
ナイジェリアの警察や軍はイスラム教徒が支配している。キリスト者青年は、ナイフや自製の刀、ナタ、弓矢で自衛し、バリケードも築いている、という。
米英など各国政府は、国際テロ組織アルカイダの影響力を懸念、国際人権団体も正義のために責任ある行動を関係当局に要請している。