・・・ヤイロという人が来た。この人は会堂管理者であった。彼はイエスの足もとにひれ伏して自分の家に来ていただきたいと願った。彼には十二歳ぐらいのひとり娘がいて、死にかけていたのである。・・・しかし、イエスは言われた。「泣かなくてもよい。死んだのではない。眠っているのです。」人々は、娘が死んだことを知っていたので、イエスをあざ笑っていた。しかしイエスは、娘の手を取って、叫んで言われた。「子どもよ。起きなさい。」すると、娘の霊が戻って、娘はただちに起き上がった。・・・(ルカ8章40〜42節、49〜56節)
状況は変化しますし、期待どおりにいかないこともありますが、たとえ小さな一つ一つの出来事であっても、神を信じて歩んでいく時に恵みを与えられますから、感謝です。
ヤイロという会堂管理者に、12歳ほどの一人娘がいました。その娘が死にそうな病気にかかっていたのです。今のようにあちらこちらに病院があるわけでも、薬があるわけでもありません。そういう状態の中でヤイロはイエスの噂を耳にして、イエスの元に来てひれ伏してお願いしています。どうか、私たちのところにやって来て娘に手を置いて祈って下さい。しかし、使いの者たちがやって来て、「娘さんが亡くなりました」と知らせが伝えられます。
しかし、これを聞いてイエスは言われます。「恐れないで、ただ信じなさい。そうすれば、娘は直ります」。家に行くと、既に人々はもう泣きわめいていました。しかし、イエスは両親と3人の弟子だけを連れて、娘の部屋に入って行きました。そして何とイエスが娘のその手を取って、「子どもよ、起きなさい」と声をかけると、たちまち彼女は、生き返ったのです。
2つのことを私たちは心に刻みつけておきましょう。
1.状況の変化に対応する信仰
今は変化の多い時代です。短いサイクルで激しく状況が変化します。家族のあり方も、健康診断の数値も、仕事の忙しさも色々なことがバタバタ変わります。だからといって、あなたのイエスに対する信じ方が変わっては意味がありません。あなたの信仰は単にあなたの調子のいい時だけの信仰ではありません。私たちの神の愛は変わりません。
イエスの十字架の恵みも変わりません。イエスの癒しの約束も変わりません。イエスは言われました。「恐れてはならない。ただ信じ続けなさい。信じていなさい。そうすればあなたの娘は直ります。癒されます」。これがイエスの語られたお言葉です。
私たちがクリスチャンとして信仰が与えられていることは、実に幸いなことです。私たちは世の中の状況や人の言葉に左右されてはなりません。イエス・キリストのお言葉、神の言葉、聖書の言葉を信じて勝利を得る者となりましょう。
2.感情の変化に流されない信仰
注意すべきことは、状況の変化に際して、私たちの気持ちが右から左へと大揺れすることです。
この物語の中でも、最初は、人々はイエスを待ちわびていました。ヤイロもイエスの足もとにひれ伏して、「どうか自分の家に来てください」と願います。イエスの周りには人々があふれていて、歩けないほどでした。でも、娘が死んだというニュースが伝えられると、もうみんな落ち込んで、イエスに来てもらう期待感も薄れてしまいます。それどころか、イエスが部屋の中に入ろうとすると、人々はあざ笑うほど気持ちが変化していきます。
感情の流れ、感情の変化に流されてしまわないで、イエスに対する信仰を常に意識しておきたいと思います。最近の風潮は、感情の思いのまま、自然体が一番いいんだというような自分の感情を正当化する、わがままな理屈が通っています。しかし、イエスを信じる信仰に関しては、感情のままに右へ左へ動いていてはいけません。私たちには確かに、人間らしく生きるための気持ちの動き、感情というものを神から与えられています。しかし、神の恵み、イエスの救いは感情よりも深いところに働くのです。たとえ自分の感情が揺れ動いたとしても、あなたの信仰を投げ捨てたり軽んじたりしてはならないのです。
主は今も働いて下さいます。イエスは変わりません。変わりやすい世の中だからこそ、変わらない救い主の恵みが輝きます。あなたの信仰がこのキリストに触れるカギです。あなたの信仰をイエスに結びつけて、変わらない信仰を体験してまいりましょう。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。