ヒラリー・クリントン米国務長官は21日、インターネットの自由について演説を行い、その中で米ネット検索大手グーグルが中国国内からサイバー攻撃を受けたとされる問題に言及。「サイバー攻撃に関わる国家や個人は大きな報いを受け、国際的な非難に遭うだろう」と警告し、中国政府に問題の徹底調査とその結果の公表を要求した。
演説でクリントン氏は、国家による政治的なネット検閲は「世界人権宣言に反する」とし「基本的人権の侵害」と訴えた。また「ネットは思想や宗教が異なる人々をつなぐことができる」と力説。中国にはグーグル問題と向き合うよう求めたが、中国側は米国がネット上の自由の問題と絡めて外交問題化しようとしていると反発しており、米中間の摩擦拡大が予想される。
クリントン国務長官は昨年2月に訪中した際、中国指導者との会談では人権状況に対する直接的な批判を避けていたが、日曜日には政府公認教会の礼拝に参加。教会を訪れる行動そのものが「(人権、信教の自由等について)多くを語ると思う」と語っていた。
米国務省は昨年10月に発表した「世界各国の宗教の自由に関する2009年版年次報告書」で中国を宗教の自由について「特に懸念のある国」と認定。宗教活動を理由とした逮捕はないとしている中国政府の姿勢については「実際には多くの宗教指導者を拘束、逮捕している」と否定し、抑圧をやめるよう求めている。
中国には政府公認の教会と、非公認のいわゆる「地下教会」が存在し、政府にとって不都合な思想を持っているとみなされた地下教会の関係者は逮捕・拘束されてしまう。昨年11月にもキリスト者人権弁護士夫妻が自宅前で警察に捕らえられ、13時間にわたって拘留される事件が起こっている。