「アラー」の使用を巡り教会への襲撃事件が続くマレーシアで、モハマド・ナズリ・アジズ首相府相は、ペナン、サバ、サラワクの3州と首都クアラルンプールを含む連邦直轄領では、非イスラム教徒でも「アラー」という言葉の使用が許されると述べた。マレーシアの情報サイト「マレーシアナビ」が伝えた。
アジズ首相府相が非イスラム教徒による「アラー」使用が認められるとした地域は、マレー半島北部のペナン州とボルネオ島のサバ州、サラワク州、連邦直轄領のクアラルンプール、ラブアン、プトラジャヤの計6つの地域と州。これらの地域・州にはイスラム教の最高権威者であるスルタンがおらず、州法に非イスラム教徒による「アラー」使用禁止を定める独自規定がないためだという。
特にボルネオ島の2州については、家族の中でキリスト教徒とイスラム教徒が混在しているとして、文化的・慣習的な観点から容認されるべきだとする見解を示した。
マレーシアでは、非イスラム教徒がイスラム教の唯一神「アラー」という言葉を使う場合、改宗を意図することがあるなどとして、イスラム教徒以外の「アラー」使用が禁止されている。しかし、使用可否を巡った裁判が行われ昨年末、クアラルンプール高裁は、非イスラム教徒にも「アラー」を使う憲法上の権利があると判断した。
これに反発したイスラム教徒の一部過激派らは教会への襲撃を行い、16日までに放火や投石などの襲撃事件が11件発生している。
ナジブ首相は事件を強く非難しており、これまでに警察当局に教会周辺の警備強化などを指示した。
マレーシア教会協議会のヘルメン・シャストリ総幹事は、「過激派による脅威を絶つことにともに立ち上がる必要がある。キリスト者は攻撃に脅えるな」と訴えている。