ローザンヌ運動・神学作業部会のアフリカ部門が8日、アフリカを中心に世界中で存在感を増す「繁栄の福音」を懸念し、信仰の拠りどころを再確認するよう呼び掛ける声明を出した。「繁栄の福音には聖書に根ざした側面もある」と認める一方、この教えを最も強調して教える指導者は偽預言者であり、聖書を汚しているとの見解を示した。
声明は、2008年10月と2009年9月にそれぞれ開催された会合の報告書を元に作業部会が作成し、今月8日、米誌クリスチャニティ・トゥデイに掲載して発表したもの。健康と富に関する教えを排除することが目的ではないとしたうえで、繁栄の福音が多くの場合、信徒の健全な信仰を育てる立場にある教会の活動を妨げ、永遠の救いという本質から人間を遠ざける可能性があると批難している。
声明では「ローザンヌ運動に対し、繁栄の福音を過度に強調する教えを福音的聖書的信仰と相容れないものと考え、こういった教えを明確に否定するよう要請する」としている。
作業部会は、繁栄の福音を「信仰者には健康面と経済面で祝福される権利があると考え、この祝福は信仰の積極的な告白と、信仰相応の献金と、あらゆるささげ物をささげる『種まき』を通して得られる、とする教え」と定義している。
信仰に応じて神から健康と経済の祝福が得られるとする考えは世界のペンテコステ派教会を中心に顕著に見られるという統計結果がある(ピューフォーラム、2006)。だが声明によると、アフリカでは、教派を問わずこうした物的祝福を過度に強調する傾向が強いことがわかっているという。
聖書の権威とイエス・キリストの十字架から信仰が遠ざかるとき、指導者の富と欲の満たし、個人の経済的、肉体的祝福が信仰生活の目的へと変化し、信仰が誤った方向に進む危険性が高まる。声明では、神の奇跡的な能力が信仰者に約束されているという考えや、人間的な手段の放棄を条件とする考え、祝福は人間の行いの報酬とする考えに対し、注意を呼びかけている。