サルコジ仏大統領は8日、スイスでイスラム教モスクの尖塔(ミナレット)建設を禁止する憲法改正案の是非を問う国民投票で禁止賛成が多数となったことを受け、「すべての宗教は見せびらかしや挑発をやめるべき」と投票結果に理解を示した。仏紙ルモンドに寄稿した論文で発表した。
国民投票は、移民政策の厳格化などを主張する国民議会(下院)第1党の右派・国民党による運動の一つ。スイス政府は「連邦会議(内閣)は決定を尊重する」との声明を発表し、既存のミナレット4カ所については存続を認める方針を明らかにした。
スイス政府内では今回の国民投票を受けて、「デンマークの新聞が預言者ムハンマドの風刺画を掲載してイスラム諸国の反発を招いた事件の再来となるのでは」と懸念する声も出ている。
サルコジ大統領は論文でイスラム教徒に対し、キリスト教的遺産や政教分離の諸価値への挑戦と見なされる行為はフランスでもマイナスになると警告した。