英国国教会(聖公会)リッチフィールド教区主教のジョナサン・グレッドヒル氏が、12月1日からクリスマスまでの期間に十字架のネックレスや魚の形(※注)をしたバッジを着用しよう、と呼び掛けている。
同教区が発行する教区誌に掲載された教書で語ったもの。牧会職場の服装規定やドレスコードに反するという意見もあるが、普段から決まりごとには従順なクリスチャンも12月だけは譲るべきでないとしている。
グレッドヒル氏は、市場や人々がクリスマスを最も意識する時期だからこそ、クリスチャンが揃って魚形のバッジや十字架のネックレスを着けることによって、クリスマスの根底にあるメッセージを人々に想起させようではないか、と記している。
また、「最も高価な表現方法は、自分自身を地域のためにささげることだ」としたうえで、いつでも思いついたときに寛容で実際的な愛を世界に示すことこそ、クリスチャンであることの本当のしるしだ、と挑戦を投げ掛けた。
英国では10月、勤務中の十字架着用を巡り、看護師のクリスチャンが「宗教差別」を受けたとして病院の上司を訴えるという事件があった。看護師は、ネックレスを外すよう上司に命令され、信仰を理由にこれを拒否したところ、上司から職務変更を伴う降格か、懲戒免職による退職かを迫られたという。
グレッドヒル氏は、国教会が毎年9月に開催する伝道キャンペーン「バック・トゥ・チャーチ・サンデー」に主体的に取り組むなど、未信者伝道や教会から離れた人の信仰回復に力を入れている主教として有名。これまでも幹線道路脇の看板やラジオ番組の広告を使って人々に礼拝参加を呼び掛けるなど、活発な伝道活動で知られている。
注: 弧をなす2本の線を交差させて魚を横から見た形に描いたもの。イクトゥス(ギリシャ語で「魚」の意)と言う。迫害下にあった初期のキリスト教徒が隠れシンボルとして用いた。今日では、ジーザス・フィッシュやクリスチャン・フィッシュなどと呼ばれている。